第313話
「眠い……」
昨日のニルトンの勢いにビビリ部屋に逃げた俺はそのままベットに潜り込み寝た。
「アイツ、こぇーよ」
昨日のニルトンの表情がまだ頭の中から抜けない俺であったが、とりあえずシャレから昨日の会議について聞くために起き出す。
部屋を出るとちょうどロピも起きてきて眠い目を擦りながら話しかけて来る。
「おにいさん、おはよーう……」
「あぁ、おはようー」
俺とロピが廊下を歩いているとシャレから声を掛けられた。
「アトス達、おはよう」
朝起きて居間に行くと既にシャレが席に座っていた。
「あぁ、おはよう」
「大鎌さん、おはようー」
俺とロピは寝坊助の為、今起きた所だがリガスとチルは既に朝食の準備をしていた。
「アトス様おはようございます」
「ほっほっほ。そろそろ朝ご飯が出来上がりますぞ」
いつもの様にリガスの作った美味しい料理を堪能した俺達は食後のお茶をしてシャレの話出すのを待つ。
「オホンッ」
シャレが一度咳払いをすると、皆が口を閉じてシャレに視線を向ける。
「昨日の会議はニルトンが失礼をした」
そう言って、シャレが一度頭を下げる。
「それで、昨日の会議をした」
「ふむ。何を決めたのですかな?」
リガスの問いにシャレが答える。
「今日から大急ぎで戦闘準備を行う予定だ──だが一つ問題がある」
「問題?」
「あぁ──マーズからの手紙には相手の戦力が書かれてなくてな」
確かに、手紙には炎弾が攻めてくる事くらいしか書かれていなかった。
「このまま、この土地で戦うべきか、もしくはこちらから攻めるべきか……」
シャレの言葉にチルが口を挟む。
「シャレ──ここにいる非戦闘員は逃がした方がいいんじゃない?」
「ふむ。チル様の言う通りですな」
シャレが難しい表情で答える。
「エルフの多くは自分の生まれた土地で一生を過ごして死ぬ──ましてや昔から生きているエルフなんかはその傾向が高くてな……最古のエルフは勿論のこと、他の年寄り達もこの村を絶対に捨てる気は無いだろう……」
シャレの言いたい事は分かる……
「それじゃ、置いていけないねー」
「あぁ、雷弾の言う通りだ──我々エルフは仲間意識が強い種族だからな、村を捨てて逃げると言う選択肢は無い」
シャレ──と言うよりかはエルフ族全ての意思をシャレが代弁している様だ。
「なら、戦うしかねぇーか」
「アトス達には申し訳無いが戦う事を我々エルフ族は選ぶ」
シャレの固い意思を確認した俺達は全員で頷く。
「よし、ならもっと訓練しないとな」
「そうだねー、もっと強くならないと!」
「人間族を皆殺しにします」
「ほっほっほ。では私はチル様が皆殺し、し易い様に手伝いますぞ」
若干二名程物騒な事を言っているな……
だが、そんな二名の言葉が頼もしかったのかシャレは笑っている。
「ははは、剛力と鉄壁は頼もしいな──私達も急いで村の防備を固めると共にドワーフ達と戦闘連携に付いても決めないと考えている」
確かに、違う種族同士が──それも両種族共に大人数で連携をいきなり取り合うのは難しいだろう……
「シャレ達エルフ族とドワーフ族以外の種族はどうなんだ?」
「確かに! 他の種族さん達は協力してくれないのー?」
俺とロピの質問に再びシャレの表情が曇る。
「同盟の手紙は何度か送ったが、良い返事を貰えなかったり、返事そのものが来なかったりだな……」
「えー、なんでー? このままじゃ皆んな奴隷にされちゃうのに!」
ロピの意見はもっともだ。
「姉さんの言う通りです」
「ふむ。恐らく誰もが敵わないと思って諦めているのでしょう」
リガスの言葉に続く様にシャレが話出す。
「鉄壁の言う通りだ──どの種族も人間族に勝てないと思って、参加しないのだろう」
「そこまで、人間族と他種族では戦力の差があるのか……?」
俺の言葉にシャレとリガスが頷く。
「基本的な身体能力は人間族が一番低いと言っても良いでしょう──ですが人数が圧倒的に多いのです」
「それに、人間族には化け物みたいに強者が居るからな……」
シャレは困った表情になる。
「化け物?」
「あぁ。人間族には炎弾と総隊長のグンドウがいる──この二人に関しては化け物と呼んでいいだろう……」
シャレがそこまで言うのだから、相当な強者なのであろう……
「とにかく、一早く戦闘準備を整える必要がある──少しの間帰りが遅かったりするが、心配しないでくれ」
そう言って、シャレは早速やる事があると言い、家を出て行った。
「なんか、凄い事になってきたね……」
「あぁ……」
俺とロピは、この先に不安を感じていた。
だが、もう二人は平常運転であった。
「リガス早速特訓をしよう」
「かしこまりました」
二人は訓練の準備を始める。
だが、今回に関しては、この二人について行く勢いで俺も訓練しねぇーとな。
こうして、エルス族、ドワーフ族は炎弾との戦いの準備をして、俺達は少しでも強くなれる様にと戦闘訓練を行う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます