第281話 ロピ武器のお披露目会 3
ロピによるツェーンショットが放たれた後に、目を開けていられ無い程の発光が周囲を包み込み俺は目を瞑ってしまった。
そして周りの音すらも聞こえなくなってしまう程の大きな音を立てながら飛んでいく雷弾。
暫くしてから光も音も収まったので目を開けてみると、そこには信じられ無い光景が広がっていた……
「お、おい……これは……ヤベェーよ……」
ロピがツェーンショットを撃った場所にあった木々は全て根こそぎ消滅していた──しかも電車の横幅分と電車10両程の長さ分は丸ごと木々が無くなっていたし、地面を見ると綺麗にツェーンショットが通った部分が丸こげになっており、あちこちで消し済みから煙が登っている。
「あ、あはは──やり過ぎた……?」
撃ったロピ自身も驚いている様で俺達の方を向く。
「や、やり過ぎた所じゃねぇーだろ……前に撃ったツェーンショットと比べて段違いの威力じゃねぇーかよ」
「だ、だよね……私もここまで凄いとは思わなかったよ……」
「ふむ。長い事生きて来ましたが個人が放つ技の中でこんなに威力の高い技は初めてですな──ただでさえ以前のツェーンショットの時点で初めてだったのに、それを優に超える程の威力で流石に私も驚いております」
滅多に動揺しないリガスですらロピの撃ったツェーンショットの跡を茫然と見ている。
「姉さんはやっぱり凄かった……」
普段からはあまり分からないが、今のチルはロピを尊敬する眼差しで見ている。
「これ、俺のサポート無かったけど、合ったらどうなるんだ……?」
「ふむ……まぁ、これ以上に凄い事になるのは確実ですが想像は出来ませんな」
「だよな……」
改めてツェーンショットの跡を見るが、やはり電車丸々一車両分は入るくらいの範囲はあるな……
「姉さん、その武器の効果ってなんだったの?」
チルがロピに質問する。
「あ、そうだったね!」
俺も気になる、一体どんな効果でここまで威力を増大させられるのか
「今回の効果はなんと──私自身のスキルランクを一段階上げる事だよ!」
それを聞いて再度俺達は驚く。
「そんな事が出来る武器なんてあるのか?」
「うん、私も最初は信じられ無かったけど、モジャモジャさんが言うにはとても珍しい物らしい! ──お兄さんとかにお世話になったから私の武器を作る時に使用したって言ってた!」
聞いただけじゃ本当かどうか疑いたくなるが、目の前の光景を見たら、それも信じられる。
「成る程な……ランク一つ上がるだけでここまで違うものなのか……」
ランク一つ上がろうが対した事無いと思っていたが間違えの様だ。
確かロピは── 【武器強化(属性:雷 部位:石ころ C)】──だったからランク的には、あの大型スリングショットを使用した場合のみBランクになるって事か……
反則級の武器を手に入れたロピは先程まで驚いて居たが徐々に目の前の光景を自分が起こした事に実感を持つ様になったらしい。
「ふふふはははははははははは!」
まるで魔王の様な笑い声である。
「私は最強だ!! ──これを見るのだ、文句無しで我最強!」
腰に手を当てて空に顔を向けて大笑いしているロピの姿が目に映る。
「ほっほっほ。えぇ確かに一撃と言う意味ではロピ殿程の者は居るか分かりませんな」
「なぁはっはっははははは」
リガスの言葉を聞いてますます腰を逸らして上を向き笑い出すロピ。
「流石、私のお姉ちゃん」
「うふふ、チルちゃんは本当に可愛いね──よしよし」
妹にも褒められてご機嫌なロピはチルを撫で回す──そして撫で回されているチルも満更では無い表情だ。
そして、次にロピは俺の方をチラチラ見ている事に気がつく──恐らく褒めて欲しいのだろう。
「あぁ、ロピ。お前は凄いよ」
「えへへ、そうかなー?」
俺が褒めると他の二人とは、また少し違った反応をして照れ臭そうにしていた。
「だけど、これどうする……?」
俺の言葉に俺を含める四人は呆然と目の前の光景を見る。
「流石に不味くないか?」
周りは自然豊かで木々が生い茂っているが、目の前だけ地面は焦げ付いて木々などは一切無く見晴らしの良い光景になって居た。
「ふむ。まぁ大丈夫でしょ」
「ほんとかよ!?」
「えぇ。木々は成長が早いので一年もしないうちに元通りくらいになりますな」
え? この世界の木々ってそんなに成長早いの?
この世界の常識を改めて知り、まだまだ分からない事だらけだと再認識させられる。
「なら戻りますか?」
「そうだな。流石にもう一発撃ち込むのはちょっとな……」
「あ、あはは……流石の私でも今日はもういいや……」
下手したら焼け野原にしかならないもんな……
「ふむ。では帰り際に動物でも狩って帰って料理でもしますかな?」
「賛成ー! 魔族さんの美味しいご飯食べたいー」
「あ、それは俺も食いたい」
「リガス、手伝う」
「ほっほっほ。では皆さん行きましょう」
こうして、ロピの新武器の試し撃ちをしたが、あまりにも凄過ぎた為帰り際では俺達は敢えて話をしなかった。
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