2話 謂れ
外はいつの間にか物凄い勢いの雨が降っていた。
混乱したものの、そのまま外に放って置く訳にもいかないので家にあげた。
予報に無い雨だったし傘も持って居なかったんだろう。彼女はずぶ濡れだった。
正直、エロい。理性持つかなぁ、、、めちゃくちゃ心配。
危うく折角作った語り手キャラを壊す所だった。
彼女は僕に
「このままだと風邪ひいちゃうから風呂借りていい?」
と無防備な事を言ってきたが体調を崩されても困るし、寒そうなのも確かだったので風呂と着替えを貸すことにした。
交換条件として何で僕を頼ったのかを教えてもらうことにした。
彼女が風呂に入っている音が静かな家に響く。
薄い壁を隔てて同級生の女子が風呂に入ってるなんて経験はした事ないし、なんかエロい気分だ。
仮にも彼女は人の女なので理性が働き何とか我慢できた。彼女が上がるのに合わせてホットミルクを作って待っていると、丁度彼女が戻ってきた。
「お、ホットミルク作ってくれるなんて君ぃ、気が利くねぇ!ありがと〜」
と緩いお礼を貰って本題に入る。
「なんで君は僕を頼ったの?」
「君は気づいてるんでしょ?」
「何に?」
「この世界が造りものだって事」
僕は驚いた。僕以外に気付いた人間が居るなんて思いもしなかったからどういう反応をしたらいいのか分からなくなってもごもごとしていると
「あれぇー、もしかして図星?やっぱりねぇ、良かった私だけかと思ってたからお友達が居てなんか気が楽になったよ」
「図星だよ。君は何で気づいたの?」
彼女に聞いた。
「彼と付き合ってた時にね、色々とおかしかったんだよねぇ。コロコロ天気が変わるしさ、何か色んなことに巻き込まれるし。
それで色々統計をとったりなんたりしてみたんだけどどうも彼を中心にここが動いてるのかなぁなんて思えちゃったんだよ」
まぁ、確信したのは君も感じてたってのを知ったからだけどねと彼女は小声で付け加えた。
「そうなんだ。モブとして立ち回る僕は目立たないようにするだけだけど、君は大変だね。」
と僕が言うと彼女は
「はぁ、君モテないでしょ〜」
と全開の煽り口調で言ってきた。
まぁ、モテないよ。そりゃモテない。だってモブだもん。心の中ではそう叫んで口では
「モテないねぇ〜、何でかなぁ〜」
と彼女の口調を真似して言った。
これが僕にできる最大のやり返しだ。
すると彼女は
「さっきの私の発言で引っかかる所あったでしょ、ほら思い出してみ。
この世界は造りものなんだから会話ログとかだせるんじゃないの?ほらぁ、はーやーくー」
思い返してみるとそれはすぐに見つかった。
「付き合ってた?」
「そうだよ、それだよ」彼女はにやけながらそう言った。
君のロジック僕のホリック 恵美智瑠 @marroncream
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