第5話 認識外の現実

 まず、あなたを汚部屋の主としてみよう。

 机の上には雑誌とお菓子と仕事道具が入り混じり、縦にも横にも広がっていて、何もない木目はまばらにしかない。

 両手で手前のものを押し出してスペースを空けようとすると、奥の物山が連動し、今にも机の縁から落っこちてしまいそう。よく見ると、既に何人か飛び降りた者も見受けられる。

 床に目を移せば、帰ってきたときに脱ぎ捨てた上着が腕を広げて待っている。もちろん、数多の下敷きの上に。


 その部屋にあなたが居ない間に、部屋にあった洋服を神様が数枚ほど「気に入った」と言いながら着衣して、個別包装の飴玉も何個か頂戴していった。


 その夜、あなたは部屋に帰ってきた。さぁ、神様の侵入には気付くのか。

「はぁ、疲れた。スマホで動画見よ」

 あなたはいつも通りに過ごした。残念、侵入気付かず。



 自分が思っていたことと違う結果が「何か」の力によって為されていたとする。

 それに気づいた人は「これはおかしいぞ」と、なぜ違う結果になっているのか思索する。

 もともとそれに関する事象に関心がなく、今までと違う結果が反映されていても気付かなければ、それはそのまま現実として受け入れられる。


 なんだか、実は世界は未知の力に溢れているけど、自分たちが気付いてないだけなんじゃないかと思えてくる。不思議だ。

 

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