第3話 闇

 人は、闇を嫌ってきたように思う。子供も夜、一人でトイレに行けなかったり、部屋の電気を暗くすると不安がったりする。自分も、真っ暗で何も音のしない部屋に佇んでいると、なんだか落ち着かなくなってくる。


 なぜ、人は闇を嫌うのだろうか。夜行性動物などは、むしろ暗闇を好いていそうな気さえするが、昼行性であっても、周りが暗くなったとて慌てふためいたりはしない。

 人間が闇を嫌う理由はいくつかありそうだが、それは視覚に起因することが多そうな気がする。

 人は夜目が利かない。時間が経てばある程度見えるようになるが、突然暗くなると、パニックになる。周りが見えないから、自分がどこにいるかわからないから、すがるものを探そうと、本能的に手を前に出す。何かいるかもしれないが、視認できない、わからないという恐怖感が、幽霊やお化けと言った何か超常的なものがいるのではないかと思わせる。

 昔だったら、闇を味方につける夜行性動物が外にいるからなおさらだ。


 そう考えると、人間ほど光に頼って生きてきた動物はいないのではないかとも思う。もしかすると、闇という物の反動から、光を神聖視するようになったのかもしれない。ゲームでも、光属性と闇属性だったら、光の方が神々しい感じを受けるだろう。


 だが、闇は時として人間の見方になってくれるとも思う。

 それは睡眠時。眠い時は、自然と瞼が重くなる。すると嫌っているはずの闇が眼前に広がる。だが、不思議と嫌な気分じゃない。もしかしたらそれは布団や場所の力かもしれないが、人間、寝るときは皆闇を見つめている。


 なんだか変なことのような気もするが、俺も眠たくなってきた。少し、闇を見つめに行ってこよう。

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