1年前の今日。

好きな人が出来た。

びっくりだ。あと余命1年と知っている僕に好きな人ができるなんて思わなかった。

彼女がいたことはあるし、同級生と比べて恋愛の経験が劣ってるとは思ってもいなかった。

ただ自分の命が残り2年だと知らされた2年前、僕は恋愛を諦めた。

いや、諦めたというより、恋愛をしてはいけないと思った。

必ず近いうちに別れがくると知っていながら、好きな人と別れなければいけない日があると知っていながら恋愛などできるわけがない。僕はそう思っていた。

そんな僕が彼女を好きになった理由を聞かれると少し困る。だって僕が彼女を好きになったのは彼女に「怒られた」からだ。

怒られたから好きになる？普通の人は僕を極度のマゾだと勘違いするだろう。

ただ僕はマゾではない。いや、少しマゾっ気が入ってるかもしれないがそこは大きな理由ではない。

僕が1年で死ぬと分かっていた家族や同級生で僕のことを真剣に怒った人は今日までの2年間で彼女以外には誰一人いない。

そんな怒られない不思議な生活をしていた僕はちょうど1年前、初めて彼女に怒られる。

そんな彼女に恋をする。

「悠里、僕は君のために生きることができただろうか？」

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