第434話 ハブで死ぬ

 これはオーリスの妊娠が発覚した時の話です。

 時間軸は他の話と前後しますが、あんまり影響ないので。


「子供の名前をどうしようか?」


 俺はオーリスにそう訊ねた。

 ステラでの子供の命名ルールがよくわからないので、自分で決めるのか、妻が決めるのか、それとも我々の親が決めるのか。

 そういった作法を全く知らないのだ。

 俺に訊かれたオーリスは笑って


「もうすでに決めてありますわ。あとはアルトが賛成してくれるだけ」


「あ、そうなの。それでどんな名前にしたのかな?」


 なんと、オーリスは既に名前を決めているというではないか。

 それなら悩む必要は無かった。

 日本であれば画数をきにしたりして、同じ音でも違う漢字になったりするのだが、ここではそんな事は無いと思う。

 なにせ表音文字なのだから。

(※作者の独り言:多分そんな設定忘れるけど)


「女だったら『サクラ』ですわ。男でもでそうしますけど、でもこの子は女の子。何故かそんな気がしますの」


「『サクラ』か」


「どうかしら?」


「いい名前だけど、お兄ちゃんがいないからなあ」


「お兄ちゃん?」


 不思議そうな顔をするオーリス。

 しかし、直ぐに納得する。


「アルトが脚本を書いている舞台演劇の主人公の妹の名前でしたわね」


「そうそう。行商人の兄が色々なところに商売に出かけて、現地の女性を好きになるっていう話に出てくる妹の名前がサクラだ。ちなみに兄は姓は車、名はトラック野郎。これ以上この作品にふさわしい名前はないよね」


 どっちも自動車関連ですからね。


「それだと清か文太かわかりませんわ、どっち?」


「清で……」


「清ですわねって、そのサクラじゃありませんわ。この子は和菓子屋の娘じゃありませんし。そもそもお菓子を売る屋台っていう設定で、登場キャラクターの名前をサクラにしたけど、相談した相手がみんな知らなかったって嘆いてましたわよね」


 前世で有名だったあの映画のあらすじをパクって、いやリスペクトして行商人が行く先々で女性に恋をして、結局最後は恋が実のらないっていう演劇の脚本をかいたらこれが大当たり。

 著作権団体も異世界までは追いかけてこないからよかったよかった。

 なお、兄の名前はソルテラ。

 最終回はハブが緩んで死んじゃう予定。

 ハブに咬まれて死んじゃうところをリスペクト。

 嘘です。


 もう一個の書き直しの方のお話でサクラの名前を決めた時に、相談した人がみんなあの作品見たこと無かったのよね。

 で、伝わらなかったと。


「そうそう、それだと猪木と結婚する事になっちゃうしね」


「それは美津子」


「あれ、下町のナポレオンのほうだっけ」


「それはお酒ですわ。それを言うなら下町の太陽。なんで素直にカード集めの方にいかないの?」


「ああ、SSCね」


「それを言うならCCS。SSCはサプライヤースコアカードの略。品質管理部門の恐怖の通信簿でしょ」


「なんだ、丹下なら丹下と早く言ってよ」


「丹下なんだけど丹下ではありませんわ」


 キャラクターと中の人の名前が一緒だからね。

 トップをねらえ!なんかもそうですね。


 そんなことがあったけど、サクラという名前に反対はしなかったので、そのまま子供の名前はサクラに決まった。

 あとは女の子が生まれてきてくれることを祈るばかり。

 男だとクライベイビーサクラになっちゃうからね。

 あ、あれも猪木と戦ったのか。

 グレート巽だけど。



※作者の独り言

書き直している異世界の品質管理は遅れているの方で、サクラっていう名前のキャラクターを考えた時に出ていたネタなんですけど、解説するところもなかったのでここで。

むこうでは兄的な立ち位置のキャラクターの名前がデイズルークスなんだけど、毒を抜いた感じにしているからそうしただけで、こっちで同じような話にするなら間違いなくソルテラにしてましたね。

流石にbZ4Xってのは人の名前としてどうかと思いますので、そこはソルテラです。

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