第340話 用語解説58

品質管理部なら知っていて当然な単語を解説




・しっくり


 よくわからないけど、みんながなんとなく理解している用語。

 「この服がしっくりこない」など日常で使用されているが、製造業においても使用されている。

 主に嵌めあいの状態を指し示すことに使用される。

 勿論感覚的なものであって、数値化は出来ないのですが、現場では通じてしまうので困りもの。

 部品として使えているならそれでもいいかというのは、設備屋時代の常識から来ております。

 設備だけでなく、試作時にも使用されますが、量産品質を管理する身としては、そんな指示は受け入れられません。

 是非とも設計には頑張って欲しいのですが、試作や設備の職人衆が中々言う事をきいてくれそうにないですよね。

 料理漫画のシャッキリシコシコとか、モチモチした触感とか、こしがあるって言うのもじゃあどこからがそうなんだ?って聞かれると困りますね。

 わかった気になって読んでいますし、なんならそれをパクリ……、オマージュして小説や漫画をかいてたりもします。

 作品の最後に独り言として書きましたが、適当っていうのも困りますよね。

 新人に「適当にやっておいて」と指示を出したら、「適当がわかりません」って言われました。

 当然ですね。

 でも、1年もすればその適当がわかるようになってくれます。

 他社にいっても通用するかわかりませんので、転職したらそこの適当を把握してください。



・祝日の不良


 祝日には何故か不良の連絡を貰う事が多い。

 知らない人のために言いますと、自動車業界は基本的に祝日は出勤です。

 本社間接業務は知りませんが、工場のカレンダーでは出勤になっている事が殆どです。

 元日やゴールデンウイークはお休みですけどね。

 後は、高卒で入社するのが多いと、成人の日は休みにしていたりもしますね。

 そんな祝日の出勤日には、何故か不良の連絡が発生する事が多い。

 嫌がらせかって思いたくなるほどに。

 世間が休みなので、せめて残業はしたくないのですけど……

 なので、選別に向かう車の中で、幸せそうな家族に怨嗟の念を送るくらいはおおめに見てね。

 社会人としての適正は不明です。



・スパッタ


 元気良く工場内を飛びまわる火の玉ボーイ。

 製品の裏側や箱の中でかくれんぼする困ったちゃん。

 本来はスパッタ飛散防止のカーテンなどで対策をしますが、何故かそれをかい潜る。

 量産前には一度もそんなことが無かったのに、初期流動期間に入った途端に暴れ始めるのは、前世の行いが悪かったからなのか?

 製品に付着した時の故障モードは組み付け不良程度なので、市場流出とかは無いのですが、火事になる方が不味いですね。

 経験や伝聞でボヤ騒ぎならあります。

 本格的に火が出た話は聞かないのですが、運が良かっただけでしょうね。

 ハインリッヒの法則でも説明できます。

 私は説明しませんが。

 そんな火が出るくらい熱いものなので、作業者が怖がります。

 スパッタが作業者の方に来ないような、カーテンやカバーもある場合と無い場合があり、安全衛生委員会の怠慢が……

 いや、止めておきましょう。

 そんなわけで、作業者は身近にあるもので防具を作ろうとしますが、可燃物で防具を作ってたりするので焦りますね。

 死んじゃうよ。

 そんな危険なスパッタ発生のメカニズムは解明されていますが、発生させずに溶接を行うことは現状では無理であり、スパッタ起因の不良に対しては、スパッタを発生させないという対策をしなくても許されています。

 ただ、必要以上にスパッタが発生したような異常は話が違いますけど。

 そういったものは、ほぼ条件設定ミスなので、そのミスを発生させない対策となります。

 早くスパッタの発生しない工法が生み出されて欲しいですね。



・逆火

 ガスが爆発するので、凄い火柱を見ることが出来ます。

 逆火防止機能のついた製品がありますので、それらを使うようにしましょう。

 設計が知らなかったり、忘れていたりすると地獄を見ることも。

 あれ見たら怖くて、設備に近寄りたく無くなりますね。

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