第335話 用語解説57

品質管理部なら知っていて当然な単語を解説




・パイプとチューブ


 同じものではあるが、用途によって呼び方が変わってくる。

 と言いながらも、設計者の気分次第。

 同じ機能の製品ではあるが、製品名がパイプだったりチューブだったりします。

 JIS規格で定義して欲しいと思ったけど、そもそもが英語なのでJISには酷か。

 普段は言い間違いにも比較的寛容なのですが、再発防止対策書での品名間違いは非常にまずいです。

 これをやってしまうと、不良の流出の他にもおしかりを受けます。

 設計者が仕込んだ罠じゃないかと思ってみたりもしました。

 作中でも書きましたが、他にも同じものなのに呼び名が設計者で変わってくるものがあります。

 何らかの命名基準が欲しいですね。



・シームレスパイプ


 継ぎ目のないパイプ。

 継ぎ目のあるパイプと比較すると高価。

 ただ、シームがない事で品質的に安定する。

 油田を掘るのにもつかわれており、シームパイプの技術が向上したので、原油がいつまで経ってもなくならない。

 自分が習った時の話では、ちょうど今頃原油が枯渇するはずだったんですけどね。



・住友金属工業


 今の日本製鉄になった会社。

 21世紀の最高値で購入しました。

 当時は新日鉄が連日高値を更新しており、次は住友金属工業だって解説していた市場関係者を僕は許さない。

 住友ベークライトも高値で掴みました。

 次は住友理工でしょうか?

 日本製鉄に社名を変更する前は新日鉄住金だったので、今でも社内にあるパレットに新日鉄住金の社名が印字されております。



・転造タップ


 異世界転生やら、異世界転移してねじを導入する話を見かけますが、ねじの加工についての描写ってあんまり詳しくはないですよね。

 まあ、読者もそんなものは求めていないのでしょうけど。

 ねじの品質管理って凄く大変だよ。

 異世界にねじなんて持ち込んだら、数百年後の品質管理担当者から恨まれるよ。

 締結方法にねじなんて考えたやつ誰だよってね。

 そんなねじでも安定しないのが転造タップ。

 下穴の管理が悪いとねじとしての機能を満たさない厄介者です。

 全数検査するわけにもいかないけど、抜き取り検査の頻度を下げると選別対象が増えちゃうっていう困りもの。

 何が正解なのかわかりませんが、たぶん転造タップを採用しないのが正解だと思います。

 選別の二次被害でねじゲージが痩せてしまい、正しい判定が出来ないねじゲージで検査をしていたなんて話も聞きますね。

 切削タップと比較して、強いトルクが要求されるため、加工できる素材が限られます。

 それでもキリコが出ないというのは魅力的でしめ。

 アルミ合金の板にキリコを巻き込んだ傷をつけるくらいなら、転造タップにしておこうっていう考えもわからなくもないですね。

 最初から塗装にしておけば、傷も消せるんじゃないかという突っ込みはなしで。

 私は設計に言いますけどね。

 なんで塗装にしてくれないんだよ!

 IATF16949のルールで、ねじの全箇所確認が決まった時はうれし涙を流しました。



・三国志


 自分が社会人になったころって、上司が戦国武将や三国志の話を例えで出してきました。

 当時の参考図書って吉川英治何だと思いますが、自分達がその人たちの年齢に近づいてきたので、今は同じ三国志であっても、横山光輝版を読んだ上司が勢ぞろいしているはずです。

 横山光輝版といっても、孔明がBF団の軍師をしているとか、間違った知識を披露しないように気をつけましょう。

 十常侍も十傑集ではありません。

 三国志といえば、とある歴史シミュレーションゲームの会社の人で、三国志の開発チームにいた人がリアルな知り合いです。

 彼の話を聞くと、三国志の開発チームは信成の野望開発チームより品質管理が楽なのだそうです。

 何故なら、信成の野望は日本の戦国武将が出てきますので、その子孫から「うちのご先祖様はこんなに弱くない!」っていう市場クレームがあるのですよ。

 三国志は外国が舞台なので子孫の人も苦情を言ってこない。

 まあ、今では中国でゲーム展開しているので、そのうち来るのかもしれませんけどね。

 コンシューマーゲーム機なので、回収するわけにもいかず、次回作でパラメーターを調整するって言ってました。

 市場クレームはどこの業界も大変ですね。

 「仕様です」って回答しない辺り、苦労がにじんでいますね。

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