第255話 用語解説41

何だかんだで続いてますね……


品質管理部なら知っていて当然な単語を解説



・断斜面補正


 三次元測定において、基準面が正確に測定できないときに使用する。

 基準面は平らであるはずだが、実際の加工ではそうでもない。

 例を挙げると、丸ノコで切断した切りっぱなしの面を基準面にすると、座標が正確にならない。

 製造業に携わってない人向けの説明だと、同じ消しゴムを机の上に二個置くのをイメージしてください。

 片方の消しゴムの上面に平行に定規を当てたときに、定規はもうひとつの消しゴムの上面にも当たるはずです。

 ところが、机の上に消しゴムのカスがあって、カスの上に消しゴムがあると、机に対して消しゴムは傾きますので、定規も当然傾きます。

 そうすると、本来同じ高さの消しゴムのはずなのに、定規での確認では高さが違うとなってしまいます。

 これを防ぐために、予め消しゴムの高さは同じだよと三次元測定機に教え込むのが断斜面補正です。

 ところが、これは今の三次元測定機にはありません。

 今はRPS補正っていう名前になってますね。

 なお、MITUT●Y◯の三次元測定機しか使ったこと無いので、他のメーカーではどうなのか知りませんけど。

 10年やそこらの検査員だと、こんな言葉をしらないですね。



・カチオン電着塗装


 金属に電気を流して塗装する工法。

 比較的よく採用されます。

 膜厚のばらつきが大きいので、設計は図面に指示する膜厚をよく考えてほしい。

 防錆と絶縁の効果があるので、タッチアップで黒いマジックで塗っちゃ駄目。

 とかいいながら、入ってくる部品は油性マジックでタッチアップしてあります。

 有機溶剤で拭くと綺麗に無くなりますね。

 とある大企業でもやっているからいいのかな?

 こいつが前処理の脱脂が不十分だと簡単に剥がれます。

 慢性的に剥がれたりすると、作業者もそれが普通になって、簡単に不良が流出します。

 カチオンに関しては色々とあるのですが、特定されそうなので、マイナーな不具合については書くのを止めておきます。

 あの会社が無くなったら書くかもしれませんが。



・ステラ刑事ギャラン


 蒸着と焼結は仕事で関係があるので、そのうちやるかもしれません。

 異世界なので、全部夢オチですけど。

 蒸着は樹脂に使っている塗装で、焼結は固い金属ってくらいですけど。

 赤射は知らん。



・シールドガス


 アーク溶接で母材を大気から守る役割をしているガス。

 風とか油の蒸発で家出する。

 ピンホールやらブローホールが出来るので、いなくなるときは一声かけてほしい。

 実家に帰るときの妻か!

 家庭円満ですよ、念のため。

 溶接職場は冬でも暖かいくらいには熱が発生するので、夏場は地獄。

 長袖の作業着に、分厚い保護具。

 扇風機やクーラーの風が欲しいのもわかるけど、ピンホールやブローホールが発生するので我慢してくれ。

 ピンホールの上からもう一回アーク溶接しちゃだめ。

 いや、してもいい場合もあるけど、お前が判断するな。

 溶接は全部ロボット化したいですね。



・定置管理


 決まった場所に決まった物を置くだけの簡単なルール。

 でも守られない。

 異材の流出は全国の品質管理担当者を常に悩ます。

 尚、とある大学の研究室では、同じ棚に青酸カリと砂糖が保管してあり、いいのかそれはと思いました。

 入れ物が違うとはいえ危ないよね。

 似たような材料は、置場所を離すなどして一層の混入防止をしたい。

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