第43話 用語解説7

品質管理部なら知っていて当然な単語を解説



・ADC12


 アルミダイカストで使用される材料。

 大体これ。

 他にもADC10とかDADC24とかあったりする。

 インゴットと呼ばれる金の延べ棒みたいな形状をしており、それを溶かして使用する。

 アルミ鋳物になるとAC〇(〇の中は数字が入る)を使用する。

 当然材質が違うので、いろいろと違う。

 そこいらはノウハウなので、詳しく知りたい人はお手紙を下さい。

 機密事項を適当にはぐらかしてお教えいたします。

 嘘です、そんなに詳しくはありません。

 石とかラドルから溶け出した鉄が一緒になって、切削用の刃物がチッピングするので、とてもつらいんです。

 特に、設計がすっとこどっこいで、特殊刃物での加工をしなければならないとね。



・官能作業


 別にエロくない。

 官能小説という単語から想像されることで、ちょっと意味が違うのですよ。

 でも、新人作業者で特に女性に「官能作業についての教育」っていうと、露骨に警戒されてしまう不遇なネーミング。

 団鬼六先生の功績が大きいんじゃないかと思います。

 ネーミングもさることながら、作業者の能力のばらつきによって、誤判定が起きやすい困ったちゃん。

 最近では野菜や果物の糖度も数値化できるので楽になりましたね。

 色見なんていうのも、作業者次第じゃないのかなって思ってます。

 本当に難しいので、なくしてもらいたいですね。

 頑張れ技術者。



・オーステナイト


 面心立方格子構造で、非磁性体の#γ__ガンマ__#鉄。

 といってもわかりにくいので、磁石がくっつかないステンレスだと思ってください。

 ステンレスでも磁石がくっつくのがマルテンサイト。

 そんなことは普通に生きていれば関係ない事ですが、金属加工業では結構重要。

 ステンレス鋼球で異材混入させたときには、マグネット検査をして選別しましたよ。

 SUS304とSUS430の混入だったかな。

 板材でも混入させてしまいました。

 見た目では全くわかりません。

 よく市場流出しないで止まったなと思います。



・苛性ソーダ


 メッキの前工程で脱脂に使う。

 むせるのでマスク必須。

 アルマイトの前処理の脱脂を手作業でやったら、アルミ製品が溶けてしまい大変なことになりました。

 二度とメッキなんてやらないと思いましたが、なぜかリード作業から仕上げまで手作業でやってたんですよね。

 川に流しちゃダメ絶対。

 尚、メッキ工場の廃液が河川に流出した事件にかかわりましたが、怒るほうも、怒られるほうも関係者で、とても居心地が悪かったです。

 メッキ業者、市役所、消防、保健所とみんな知り合いだったのは偶然だけどね。

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