第36話 用語解説5
品質管理部なら知っていて当然な単語を解説
・塑性変形
外力を取り除いても戻らない変形。
一般的に変形っていうとこのイメージ。
戻るのは弾性変形。
降伏点を越えると弾性変形から塑性変形に変わる。
更に外力を加えると破断する。
溶接した製品が破断した際、報告書に何度も書かされるらしい。
二番切れなら強度設計不良じゃないんですかね?
・サプライヤー
下請けを格好良く言い換えました。
上はサプライヤー様と言うが、力関係は歴然。
下請法を盾に戦うしかねぇ。
資本金を積みすぎると下請法で守られなくなるので、経営者はよく考えて欲しい。
・火花試験
知っていて当然と言いながら、知らない人が多い。
知っていても出来ない人が多い。
JISで規定されているけど、そのうち無くなりそうな試験方法。
興味がある人はネットで調べて下さい。
これで鋼材の種類を誤判定して、焼入れ失敗しました。
鋼材の種類を知っていても、自分で焼入れするのは難しいですが。
・ダイキャスト(ダイカスト)
金属鋳造の一つ。
溶けた金属を金型に流し込んで、圧力を掛けて鋳造する。
ダイキャストだけでは完成品にならず、その後切削加工を施す事が多い。
ダイキャストの寸法公差は切削加工の寸法公差よりも緩く、切削加工後は切削加工の寸法公差が適用されるが、母材の出来がラフなので公差に入らない。
この公差では無理ですよと言っても、一度図面が出図されたら簡単には治らないので、良品が取れるまで作っては溶かしの繰り返し。
あまり効率の良い加工方法ではないが、何故か世間は見て見ぬ振りをしている。
ダイキャストの製造現場は3Kの最たるもので、熱い、臭い、汚いと不人気。
同じ時給なら深夜のコンビニの方がいいです。
なんならワンオペの牛丼チェーンでもいいです。
強盗は溶けた金属で攻撃して来ません。
・パーティングライン(PL)
金型の合わせ目が製品に反転したもの。
ペットボトルにも縦に筋が入っているアレ。
量産型だと気にならないレベルまで調整されているが、試作型だとかなり酷いものがある。
パチンコ部品だと開発期間が短く、試作型のまま量産突入して、休み返上でPLのバリ取りをすることもしばしば。
個人的にはマクロスのパチンコがトラウマです。
たい焼きのPLが許されるのだから、工業製品ももっとラフでいいじゃないか、にんげんだもの。
・OJT
新兵を訓練も終わってないうちに最前線に投入する事を格好良く言い換えた言葉。
実務を経験しながら育てていく手法だが、右も左もわからないのに、客の対応をさせたりと正気とは思えない。
図面の読み方も知らないまま、不具合対策書を書かされた時は、本気で駄目だと思いました。
教える側に知識と余裕がないのが現状なので、中小企業では上手くいっている事例をみない。
OJTは止めたほうがいいと思ってます。
・選別
品質管理として避けては通れないイニシエーション。
文字通り、良品と不良品の仕分け作業。
社内選別と客先選別がある。
客先での選別の場合、高確率で怒られる。
単なる選別作業員なのに、関わってもいない製品の事で怒られると、現実味がなさすぎて精神的な苦痛は軽い。
真夏の炎天下だろうが、真冬の大雪だろうが、不具合が発生したらすぐに直行する。
子供が生まれた時に、遠くの地で選別していた人もいました。
選別済みの製品から、同一の不具合が出た時は、軽く監禁されます。
生まれ変わったら品質管理だけはしたくないと思ってます。
生まれ変わらなくても、今すぐ辞めたいとも思っています。
メドレックスが時価総額1000億円にならないかなー。
・PPM
パーツ・パー・ミリオンの略で1/1,000,000の事。
0.5%の不良率だと5,000PPMになる。
数字が大きくなれば危機感を持つのではないかという、全くもって現実離れした考えから生まれた。
今どきは3PPMが目標とか言われても、年間1,000個しか作らない製品でどうしろと。
少量生産の製品は対象外にしてほしいけど、そういった細かい心遣いは無い。
考えたやつは現場を見ろと言いたい。
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