遺跡調査員に向けて

冒険者になれれば遺跡調査員になれるのは簡単だ。

しかし僕はなれない。だからなるにはとても厳しい試験が待っていた。

まずは、遺跡に関しての知識、仲間との連携度(ここは一人なので関係はない)

そして最後の一つが難しい。


【遺跡に潜ってすぐに死なないほどの力があるか】


他2つは何とかなるだろう。

だが最後はどうするかそれが問題だった。

僕が使える魔法は炎、水、風、土、光,、無の5属性。これだけで戦えるかどうか…


試験当日

試験者はそれぞれの仲間と遺跡に入っていく。

合格条件は遺跡最下層にある【炎の魔石】を採取して生きて帰ってくる。

それが合格条件だ。

炎の魔石は炎魔法の威力をあげることも可能で炎魔法が使えなくても数回は使用可能になる。


ついに僕が入る番だ。

僕は仲間を連れて来ていない。そもそも仲間を作っていないのだ。

村を出てどこにもよらず試験会場に来て誰とも話していない。

話す必要性がなかったからだ。


「君一人か…よし行け。きっと落ちるだろう(小声)」


聞こえないように言っているっぽいが聞こえてるぞ。

思わず声に出しそうになる。声にだしてそれで落ちるのはごめんだ。


やっとこの剣が使える。小さい頃からずっと改良をし続けやっと立派な剣となった世界に一つしかない僕の剣だ。

名前は…そう【エドルドソード】由来は僕の名前と切りがいいように。

エドは僕の名前ルドは切りがいいように、そして剣だ。

この名前気に入った。


剣を眺めながら浮かれていた。

足に何かが絡みつく。ぐねっとしている得体のしれない物体。

『ストーンスライム』だ。

草原のスライムと違って石と同じ強度を持つ。

だがこの剣であればたやすく切れるだろう。

足に絡みついていたストーンスライムをいったん手ではなし空中に投げる。

その動けない瞬間を狙って斬る。

真っ二つ。普通なら再生するが不治癒魔法をかけておいた再生はできず死ぬだろう。

スライムはお金になる部位もないし放置でいいか。


スライムを後に先に進む。

それからも順調にモンスターを倒し最下層に近づく。

案外モンスターは減っていない。僕より先に行っていた人たちが倒し切っているだろうと思ったがすぐに湧き出る。村の近くにあった遺跡とは大違いだ。

村の近くにあった遺跡は一週間に一度湧くぐらいで何とかなっていたのだ。

でも、モンスターがいるおかげで腕が鳴る。


遺跡最下層

ついに最下層まできた。

炎の魔石以外にもいろいろな鉱石がある。もちろん魔石は炎の魔石しかないが剣に使えそうな鉱石もいっぱい。

すこし拝借してかまわないよな。

腰にかけてたカバンに採取した鉱石を詰め込んだ炎の魔石も余分に。


「あの…ここで、最下層で、す、か?」


とてもおどおどしい声。

後ろに振り返る。そこには僕と同い年ぐらいの少女。

ボブのピンク色の髪の毛目がおっとりしている。


「ああそうだ。炎の魔石ならそこら辺のやつが上等だぞ」


優しく対応する。別にピリピリしてたって特にならん。

少女は一回礼をし魔石を取りに行った。

僕は先に出口へと向かった。


試験から2日後

試験の結果発表日。

成績がいい順に発表され僕は一番最初に呼ばれた。

予想外だった僕が一番に呼ばれるのは何かの間違いじゃないか?

まあ呼ばれたんだししょうがない。

上位3名には遺跡調査委員会委員長から一言いただける。


正直いらない…


「エド・マクリルあなたは第30回遺跡調査員試験でとても優秀な成績を出し合格しました。よって遺跡調査員として認めます。そしてこれは私たちからのプレゼントです」


貰ったのは遺跡調査員の証とまた違う証。


「それは普通の調査員より散策できる区域などが広まり冒険者と同等の地位が扱えます」


貰っといて損はないだろう。

冒険者と同等の地位か…いらない僕は遺跡調査員だ。


そして遺跡調査員になったのである。

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