第二章 2つの刻印

1.消えた聖女1

 港街でのパレードが終わってから1週間が経っていた。

 そんな中、王都ではある話で持ちきりだった。

 なんと、王国騎士団の聖者である渦巻きの聖女レヴィア=ライが行方不明になっていたのだ。

 王都にある騎士団本部、その会議室では今まさに騎士の内10人が集まっていた。皆厳格な顔つきで静かに円卓を囲んでいる。その中には、レヴィアの実の兄である空の聖者ジゼルも座っている。

 1番の最初に沈黙を破ったのは、長い白ひげを携えた古老の軍師、魂の聖者メフィストだった。

「それで、こんな大事な時期にいったいあの娘は何処にいってしまったのだ?」

 それに答えたのは、メフィストの次に長い男である騎士のユダだった。

「確かに聖女様の力は絶対に欠かせないものです。しかし、あの方のためだけに時間を使えないのも事実です」

 ユダの意見に次々と賛同者が現れた。

 しかし、それに対して違う意見を持っていたものがいた。騎士団長のジゼルだ。

「確かに、ユダの言っていることは正しい。だが、あいつがいるといないでは戦力が変わりすぎる。あいつは私の妹だし、もともと私のパレード以降行方不明になったわけだ。私の監督不行き届きだ。私が探しに行こう」

 ジゼルはまるで責任感などないと言った涼しげな表情で、ほんのりと嬉しそうに笑った。

 その意見にはさすがに皆が反対した。今この時期に団長がいなくなるのは非常にきびしい。王都の守りは薄くなり、悪魔たちがいつ攻め入るかわからない。

 

「ちょっとまってよ。団長! ここは、最年少の僕が行ってくるよ!」

 そう名乗りを上げたのは、地角の聖者ハムートだった。

 

 

 

 

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