第10話 巣立
「……………へ?」
「だから学校だよ、昔その話したら『行ってみたいです!!』とか言ってたろ?だから手配してやったんだよ。ほら、ちゃっちゃと準備しろよ?1週間後には始業式だ。」
「ちょっと!?いくらなんでも急すぎませんか!?!?」
「別に元々いつかは行かせるつもりだったからいいんだよ!というわけで準備しろよ!明後日には迎えの馬車が来るからな。」
そんな感じで本人置いてけぼりのなか話がどんどん進んでいく。
そんなわけでひたすら準備に追われ気づけば二日後、馬車が迎えに来る予定の日だ。馬車が迎えに来た時点で師匠とミランダさんとはお別れとなる。
「………来たな。」
そう師匠が呟く。実際に視界に入ったわけではないが、何者かの気配は感じる。おそらくこの気配がお迎えなのだろう。
そう考えていると突然目の前に三頭の水でできた龍が降ってきた。それらは明らかにこちらに向かってきている。
と次の瞬間、師匠の背後の地面から白炎の龍が三頭、天へと昇るように現れ、そのまま目前の水龍へと迫る。そして、互いが互いの体に絡み付くと、その場で水蒸気爆発を起こし、消滅した。
「あらあら、やはりあなたを出し抜くことはできないわね。」
そんな妖艶な声とともに現れたのは、師匠より少しだけ背が高く、胸元は大きくはだけ、髪は根本から毛先にかけて水色から青色へとグラデーションがかっている女性だ。
「そんだけ気配発しといて出し抜くも何もないだろう、ウルメラ。」
「別に不意打ちでじゃなくて威力で上回るつもりだったのよ。……結局凌がれたけど。」
そういって落ち込むウルメラさん(?)
「まぁ、そんなことはいいんだよ。それより、まさか学園の長が直々に迎えに来るとはな。」
「レヴェーナ様が自慢するような人を学園側が重要視しないわけがありませんよ。」
師匠の驚きにミランダさんが呆れ気味に説明する。
「………ミランダちゃん、いろいろと苦労が絶えなそうね。」
「お気遣い、痛み入ります。」
そんなやりとりをする二人。やっぱり旧知の仲ってやつなのかな。そんな感じで彼女らが会話すること10分ほど………
「………あの……そろそろいいですか?」
そう言って俺が話に割り込むことでなんとか話を中断させられた。
「そうそう、ごめんなさいね、すっかりほったからしてしまって。あなたがグリフィス君ね。私は国立ユニゾン冒険者学園の長、ウルメラ・レークフィードよ。これからおそらく五年ほどの付き合いになるでしょうからよろしくね。」
「はい、よろしくお願いします。」
そんな感じでお互い挨拶を交わしたところでいよいよ出発である。俺が乗るのはブルーホースという鬣と足首あたりが水でできている馬だ。速さは普通の馬と変わらないが、水さえ与えれば永久に走り続けられるらしい。この馬に跨がって学園へと向かうことになる。
「それじゃ、行ってきます。」
「おう、適当な休みにまた帰ってきな!」
「いってらっしゃいませ、グリフィス様。」
「でも、俺馬に乗ったことないよ。」
「「「………」」」
それから30分ほど乗馬の練習をしてから改めて出発した。
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