第9話 無限

「……やりすぎたかな。」

「『……やりすぎたかな。』じゃありません、レヴェーナ様。グリフィス様は確かに人外の強さをお持ちですが、だからといって<あの力>を直に体験させる必要はなかったのでは?」

そんな会話が聞こえてくる。それに気付いたためか、だんだんと意識がはっきりしてくる。どうやらここは俺が4年間住んできた家の中で、俺は今ベッドの上で横になっているようだ。

「おっ、やっと起きたか。全くだらしないぞ。」

「お目覚めですね、グリフィス様。」

そう声をかけてくるのは師匠とミランダさんの二人である。

「さて、とりあえず飯にするか。」

「いやいや、それより聞きたいことがいっぱいあるですけど………。」

俺がそう言おうとすると、お腹が鳴った。

「丸3日寝てたやつが腹減らねーわけねーだろ。ほら、さっさと行くぞ。」

丸3日も寝込んでいたことに驚きつつも、食事テーブルへと向かった。



「さて、何から聞きたい?」

まるで自国を裏切って情報をリークしようとするスパイかのような言い草で、レヴェーナが話を切り出した。

「最初から最後まで全部です!何がなんだか全くわからないんですから。」

「はぁ、じゃあまず私の本来の能力について話すか。」

そう言うとまずは白炎の変化について話し始めた。

「まず前提として、白炎の変化は私の本来の能力に近づいたために起こった存在の希薄化が原因だ。」

「本来の能力?白炎が本来のものじゃないんですか?」

「私の白炎は私本来の能力をイメージしやすいように具現化したものだ。それも本能的にな。そして、そのもととなる能力の名は<無限>。あらゆるものを際限なく肥大化できる能力だ。」

「えっ!?む、無限に!?」

「あぁ、だから本来お前がついていける攻撃が異常に速くなり、本来かすり傷すらつかない攻撃で気絶するほどのダメージを受けた。もしかしたら勘づいているかもしれないが、これはいわば理を捻り曲げる力だ。そして、この力を見せたのは、お前もこの力を身に付ける資格を持つからだ。身につけられる条件は人それぞれだからそれは自分で探すといい。というわけで新たな人生経験を積むために学校へ通え!」

「……………へ?」

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