第8話 道理

出会って一年ほど経った頃


「グリフ、お前が黒い雷を出したり私が白い炎を出したりする原理について教えてやる。」

「はい、師匠!」

「というわけでミランダ頼む。」

「はぁ、わかりました。」

そうやりとりをしたあと、ミランダさんは説明を始めた。それによると、師匠が火を出したり、俺が電気を起こしたりする動力源を魔晶と呼び、生まれて間もない頃に大気中にある魔骸という物質が体内で結晶化されるらしい。この魔晶には形成された時点で内蔵できる魔骸の容量が決まり、その魔骸を消費してあらゆる事象を発生させる。このことを魔術と呼び、魔晶が形成された時点で使える属性は固定される。今現在確認されているのは、火、水、雷、土、風、光、闇、毒の全8属性。これらのうちのどれか1属性のみが使える。

ここまでが最低限の常識として習ったことだ。しかし、俺はそのとき疑問に思った。俺の黒い雷やレヴェーナの白い炎はその中に分類するのか。もちろんその場で質問したが、そのときは答えてくれなかった。

「何ボーッとしてやがる?一瞬足りとも気を抜くんじゃねー。いいか、しっかり身構えてろよ?」

そう言うが早いかその場から動くことなく右拳を前へと突きだした。しかし、その動きだけで直径30cm程の白炎の塊が飛んできた。それだけならば何も驚くことはないが、そのスピードが異常だった。つい先程まで同じ速さで動いていた相手からの攻撃ならばついていけない道理はないはずだ。しかし、そんな道理を度外視するかのようにその攻撃は俺の腹部に直撃する。

「くっ、一体何がどうなって…ぐっ!?なんだこの痛みは!?ぐああぁぁーーーー!?!?!?」

普段なら間違いなく致命傷にすらならない攻撃だったはずだ。例えスピードが上がった分威力が増大していてもせいぜい擦り傷程度だ。腹が熱で焼け爛れ(やけただれ)、原因の白炎は消えそうにない。そのまま意識が飛んでいく。

「これが私やお前の持つ力の可能性だ。詳しくはあとで話してやる。」

最後に聞こえたのはレヴェーナが発したであろうこの言葉だけであった。

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