第648話 タッチプール
☆亜美視点☆
私達は北海道旅行最終日の今日、帰る前の最後の観光を楽しんでいます。
まずはマリンパークニクスという場所へやってきました。
ここは欧州感漂う雰囲気の水族館であり、外観はニクス城というお城になっているようだ。
また、場内マップを見た感じは、このお城だけではなく他のエリアや遊園地まで併設されているらしい。
時間があればここで1日遊びたかったよ。
現在はニクス城に入り、2階から4階へ向かうエスカレーターに乗り4はふれあいゾーンへとやって来ています。
色々なタッチプールがあり、ヒトデを触りまくった私達は、次の水槽へとやってきました。
さてさて、ここには何がいるのやら。
「はぅ、宏太くんこれは?」
「エイだな」
「エイなんだー? 小さいねー」
どうやら次のプールはエイらしい。
エイの横にはサメとも書かれている。
「って、サメーッ?!」
水に浸けようとしていた手を咄嗟に戻す。
サメがいるの?
「大丈夫だぜ。 タッチプールにいるようなのは安全な奴さ。 このエイも毒はないみたいだ」
「ほ、本当?」
「そらそうだろ。 じゃなきゃ今頃は大ニュースが飛び交ってるさ」
「あ、それもそっか」
宏ちゃんに納得させられてしまったよ。
という事で、タッチプールを体験。
エイさんを触ってみる。
「あははは! ツルツルー!」
「本当ねー! ツルツルー!」
麻美ちゃんと紗希ちゃんは物怖じせずに触りまくっている。
私も遅れてエイさんにタッチ。
「おー。 ツルツルー!」
ツルツルだった。 滑らかな肌触り。
意外だよこれは。
他の皆も触り始めて「ツルツルー」と感想を述べる。
ツルツルの感想しか出ないのであった。
サメにも触りこちらは「ザラザラー」という感想で埋め尽くされるのだった。
更に隣の水槽を見に行く。 今度は何かなぁと思い覗いてみると、そこには得体の知れない何とも言えない物が泳いでいた。
「な、何これは?」
「うーん」
「なんかエイに似てる?」
何やら丸みを帯びた体に長い尻尾のような物が生えた謎の生き物を見て、皆が首を傾げる。
こういう時は。
「宏ちゃん、これは?」
「ふむ。 カブトガニだな」
「カブトガニ? カニさんなの?」
「カニには分類されてないんだ。 節足動物で甲殻類に分類されてる。 こいつは古生代の生き物の特徴を色濃く残す、いわゆる生きている化石として有名な生き物だ」
「ほう。 なるほど」
「背面のこれは甲羅になってて、単眼と複眼両方持ってる変わった生き物だな。 いわゆる脚は全部甲羅の下に……」
宏ちゃんが1匹のカブトガニさんを両手で拾い上げて裏向ける。
「うげっ」
「はぅっ?!」
「あははは!」
裏向きにされたそこには、何とも言い難い気持ち悪さのある構造をしていた。
カニの脚のよう左右に広がった物が一杯生えて蠢いている。
う、うーん、気持ち悪いよ。
「ははは、まあちょいとあれだよな」
そう言いながらカブトガニさんを水槽に戻した。
さて、あんな物を見てしまったが触ってみたいという興味は湧いてくる。
「触ってみよ」
紗希ちゃんと麻美ちゃんは既に触っている。
私も触ってみる。
「おー、ツルッと滑らかだよ」
「あははは! ツルツルー!」
やはりツルツルという感想しかでないのであった。
カブトガニさんのタッチプールを後にし、次の場所へ。
次はタッチプールではなさそうだけど、これは何だろう?
「えーと、金魚万華鏡? だそうよ」
「金魚万華鏡?」
何だか名前からどんなアトラクションなのか想像もつかない。
人が中に入って体験するアトラクションみたいなので、中に入ってみる。
中には金魚の水槽があり、周りはどうやら鏡が張り巡らせれている構造になっているようだ。
つまり、この部屋全体が大きな万華鏡になっているという事だね。
「うわわ……なんて言うか幻想的な空間だね」
「だな。 考えたよなぁこれ」
周りの鏡達に水槽の金魚達が反射して写り込み、まさに万華鏡の中にいるような感覚になる。
「これは凄いわねー。 写真写真」
皆で感嘆の声を漏らしながら金魚万華鏡を楽しんだのだった。
金魚万華鏡を堪能した私達は、先に進む。
どうやら4階のふれあいゾーンとやらはこれで終了のようで、エスカレーターが姿を現した。
このニクス城は2階からスタートしすぐに4階へ移動し、エスカレーターで降りて行くという変わった構造になっている。
次は3階だね。
「奈央ちゃん、3階はどうなってるの?」
パンフレットを持っている奈央ちゃんに聞いてみる。
奈央ちゃんはパンフレットを見て応えた。
「うんと、アクアギャラリーと書いてあるわねー。 見た感じ普通の水族館みたいに、水槽の中を色々な魚が泳いでるエリアかしら」
「なるほど」
と、エスカレーターから降りるとこれまた普通の水族館というよりも、美術館と言った方がしっくり来る。
まるでアートを見ているような感覚で水槽のお魚さん達を鑑賞出来る場所のようだ。
「これはこれで見応えのあるエリアねー」
奈央ちゃんは多分、美術館とかもよく行ったりするんだろうね。 何だか姿が様になっている。
私達も、色々な水槽が並ぶこのアクアギャラリーをゆっくりと見て回るのだった。
◆◇◆◇◆◇
さてさて、3階のアクアギャラリーを見終えた私達は次なりエリアへ向かうよ。
次のエリアへはエスカレーターで降りて行くよ。
2階だよ。
「あるぇ? ここは狭いね?」
「そだね。 水槽もあそこだけだし」
狭いエリアに水槽が少し。
「ここには水族館スタッフが選んだ可愛いと思う生き物達がいるみたい」
パンフレットを見ながら説明してくれた奈央ちゃん。
なるほどなるほど。
「何か可愛いものから変なものまでごちゃごちゃになってんぞ」
「だね」
可愛いと言われても首を傾げるようなものも中にいるけど、奈央ちゃん曰く「あくまでもスタッフの主観で選んだものらしい」という事なので、万人受けするかどうかはわからないとの事。
「な、なるほどなぁ」
「あははは! ナマコー」
「ナマコー!」
麻美ちゃんと紗希ちゃんは何でも楽しめる良い子である。
通称「kawaii展」と呼ばれるエリアを後にして更にエスカレーターで下の階へ。
次は1階かな。
という事で1階にやって来た私達。
エスカレーターを降りた先はいわゆるトンネル状になっていて、頭上や隣を魚が泳ぎ回っていた。
「ここは、最初にエスカレーターから見えた暖流と寒流を再現した水槽になってるみたいね」
奈央ちゃんはパンフレットを見ながらそう言った。
今回は奈央ちゃんが解説役になっているね。
「はぅーっ!? サメさんだよー!」
と、希望ちゃんが声を上げる。
頭上を見上げると、たしかに大きなサメさんが悠然と泳いでいた。
鋭い歯と目を持つ獰猛そうな姿をしている。
「大きいねぇ」
「あんなんに海で遭いたくねーな」
「ぱっくんちょされてチーンだね! あははは!」
麻美ちゃんは笑いながら言ってるけど、そんな状況になったら笑えないよ。
トンネルを抜けて更に先へ進むとエスカレーターが姿を現す。
今度は上り。 2階に戻ってきたよ。
どうやら一周回ったようだ。 最後にクラゲが入っている水槽を眺めてニクス城の外に出るのでした。
マリンパークニクスはニクス城だけではないらしく、この後は他の場所も見て回るよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます