第647話 最終日
☆夕也視点☆
4日目最終日の朝。
皆が起き、女子、男子の順に入浴後に朝食をいただく。
「味噌汁うめー」
「あさりの赤味噌美味しいわね」
「これは良い味出してるわねー」
「あさりもだけど、これお味噌も良いの使ってそうですわね」
女子達は、朝食に並ぶあさりの赤味噌を大絶賛。
たしかにこれは美味いな。
「この鰻巻きも中々だぞ」
鰻を卵焼きで巻いたものだな。
これも美味い。
おそらくだが鰻も卵も良いもん使ってるんだろう。
「和食尽くしだよぅ。 はむはむ」
「ちなみにお昼はお肉食べるわよー。 高級牛を食べられるお店があるのよ」
「お、お昼からお肉ですか?」
「なんか重たそうだー」
「ふふふのふー。 食べてからのお楽しみってやつよ」
奈央も自信ありの良店らしい。
多分だけど西條グループの店でだろうな。
宏太と遥ちゃんは昼だろうが朝だろうが肉を食えるらしい。
どんな胃袋をしてるんだかな。
「で、今日はここから新千歳まで、最後の観光をしながら戻って行くわけだけど……」
「んむんむ。 何処行くのかな?」
「まずはマリンパークニクス! 登別にある、お城の内部を水族館にしたりした観光スポットですわ」
「おー! 水族館!」
「また水族館なのか」
初日と2日目にも水族館に行ったが、4日目の今日も水族館へ行くらしい。
となると希望、麻美ちゃん、紗希ちゃんの3人のテンションが爆上がりする。
そこでもイルカショーやペンギンショーがあるらしいが、時間的な問題でそれはカットするとの事。
希望達は残念がっていたが、時間が無いのなら仕方ない。
「昼には千歳市に入っていたいので、どうしてもね」
「りょ! 我慢するであります!」
「この間も観たしねー」
「ぅん」
我慢出来るいい子達のようだ。
水族館を出た後は、千歳まで1時間程かけて走るようだ。
「で、千歳のスノーランドで遊んだ後、最後の温泉を楽しんで帰りますわよ」
「まだまだ楽しめそうだねぇ!」
「ええ。 最後まで楽しみますわよー!」
「おー!」
◆◇◆◇◆◇
というわけで、朝食を食べて旅館をチェックアウトした俺達はバスに乗り込み移動を開始した。
まずはマリンパークニクスとやらへ向かう。
旅館からは約30分程で着くようだ。
そしてバスに乗るという事はだ。
「じゃんけーん! ぽん!」
「うわわ、負けた」
「やったー! 私の勝ちー!」
「はぅ、麻美ちゃんじゃんけん強いよぅ」
そう、俺の隣の席を争奪戦だ。
平和的にじゃんけんで勝負した結果、麻美ちゃんが勝利をもぎ取ったらしい。
約30分は麻美ちゃんと一緒という事だ。
「よいっしょっ!」
「しょうがない、夕ちゃんの正面で」
「じゃあ私はその隣だよぅ」
まあ結局3人は俺の周りに座るのだが。
ちなみに俺の後ろの席には奈々美と宏太が座っている。
「では出発ー!」
奈央ちゃんの掛け声でバスが発車。
目指すはマリンパークニクスだ。
「今日の水族館は何が観られるかなー?」
「お城の中に水族館って言ってたねぇ。 楽しみだよ」
「お城の水族館……どんなんなんだろぅ」
わからないが、奈央ちゃんチョイスだから期待はずれという結果にはならないだろう。
俺も楽しみだ。
◆◇◆◇◆◇
「到着ですわよー!」
約30分。 どうやらマリンパークニクスとやらに到着したようだ。
バスを降りて入り口前に集まる。
「おー、お城見えるー」
「本当に水族館なのかしら?」
「入ればわかるわよー」
まあ見た目だけなら水族館だとは分からないレベルだな。
とりあえずは入ってみることにしよう。
「はい、入場券ね。 さ、行きますわよー。 まずは広場の方まで」
奈央ちゃん先導でマリンパークニクスへ入場する。
何というかヨーロッパっぽいイメージの内装だな。
水族館じゃなくても楽しめそうだ。
広場に到着したすると、でかい城が正面に建っていた。
これはこれは立派な城だ。
「じゃ、まずはこのニクス城へ入りますわよ」
「はーい」
恐らくここのメインとなる場所であろう、ニクス城と呼ばれる水族館へ入って行く事に。
内部へ入るとまず最初に、タワー型のでかい水槽が姿を現した。
「クリスタルタワーというらしいわよ。 南国の魚達が泳いでるみたい」
「凄い綺麗よー!」
「一杯泳いでるよー!」
「はぅ! 可愛いよぅ!」
まだ入り口だが、既にテンションが上がっている希望、麻美ちゃん、紗希ちゃんの3人。
さて、このニクス城だが、入り口はどうやら2階部分に当たるらしく、まずはエスカレーターに乗り4階へ移動するという変わった順路になるようだ。
クリスタルタワーとやらをしばらくの間眺めた後、エスカレーターの方へ向かい移動を始める。
「うわわ、エスカレーターの左右に見えるこの2つの水槽は?」
「えーと、これは暖流水槽と寒流水槽だそうよ」
奈央ちゃんがパンフレットを見て亜美に答える。
「凄い……光の反射の加減で凄く幻想的だよ」
「まるで海の中にいるみたいね」
亜美と奈々美は、2つの水槽を見て感動したような様子を見せる。
外観が城だったりと色々と凝った水族館なようだな。
そのままエスカレーターに乗りながら4階部分へと移動する。
「4階ー!」
「4階は何かあるのかしら?」
「んーと、4階はふれあいゾーンですって。 タッチプールなんかもあるみたいよ」
「タッチプールって事は、またお魚さん達を触れるの?」
希望が目をキラキラさせる。
初日の千歳水族館でもあったタッチプールを思い出す。 あんな感じなんだろうか?
「とりあえず進んでみましょ」
「そだなぁ」
エスカレーターを降りて早速4階を見て回る。
まず最初に見えてきたのは、小さなタッチプール。
北海道の磯?
中を覗くと、星型をした物が沈んでいる。
「ヒトデか?」
「だね」
「これ触るの?」
と、一部の女子は少し躊躇っている。
が、そんな中でも特攻隊の2人は関係無しにヒトデに触っている。
「あははは! ぷにぷにしてるー。 病みつきになるー」
「結構いい感触ねー」
麻美ちゃんと紗希ちゃんだ。
2人は物怖じしないなぁ。
それを見て、亜美、奈々美、奈央ちゃん、遥ちゃんも恐る恐るといった感じで触り始める。
「うわわ、本当だ。 ぷにぷにだよ」
「たしかにこれは癖になりそうね」
「希望ちゃんも触ってみなよ」
「う、うん」
皆が触っているのを見て、最後まで尻込みしていた希望もヒトデを触る事に挑戦する。
「は、はぅ。 不思議な感触だよぅ」
「ね、悪くないでしょ?」
「う、うん」
皆何だかんだ言ってヒトデを触りまくり、ぷにぷに感触を堪能するのであった。
ヒトデ達を解放してあげた皆は、次の場所へ向かう。
磯プールの隣にはクジラのレリーフや、丸っこい形の水槽等が並んでいる。
レリーフや水槽を一通り見てから更に先に進むと、またもやタッチプールが並んでいた。
今度のタッチプールは先程の物より大きいように見える。
希望ちゃん、麻美ちゃん、紗希ちゃんがスタスタと近付いていく。
はてさて、次のプールには何が入っているのやら。
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