第635話 卓球大会in小樽②
☆亜美視点☆
小樽の旅館にチェックインした私達は、夕飯を食べた後に卓球大会をする事に。
参加者は私、奈々ちゃん、紗希ちゃん、奈央ちゃん、遥ちゃん、麻美ちゃんの6人。
現在予選トーナメント中で既に2試合が終了していて、奈々ちゃんと紗希ちゃんが勝ち上がっているよ。
んで、これから予選トーナメントの3戦目、私と遥ちゃんの試合だ。
「遥ー、負けるなー!」
「亜美ちゃん頑張れー!」
観戦側も盛り上がっているね。
「じゃ、始めよっか」
「おうー」
私も卓球はかなり得意な方だけど、遥ちゃんはどうなんだろう?
スポーツは全般的に得意なイメージだけど。
「じゃあ試合開始!」
「よし、いくよ亜美ちゃん」
「ドンと来いだよ」
腰を落として遥ちゃんのサーブに備える。
遥ちゃんが軽く球を投げて……。
コンッ!
ショートのカットサーブでいきなり揺さぶりを仕掛けてくる遥ちゃん。 中々強かなプレーだよ。
私は体をつかないようにして身を乗り出し、何とかリターンするも、スピンも球速も無いただのチャンスボールになってしまう。
「もらった!」
カンッ!
体勢が戻る前に遥ちゃんの強打で決められてしまう。
サーブで崩して決める。 上手いね。
「もう一本いくよ」
遥ちゃんのサーブ2本目。 今度は長めのカットサーブ。 これなら返せるよ。
コンッ!
「む、あっさりと」
「私も卓球は得意なんだよ」
「ならこれならどうだ!」
さっきとは逆回転のスピンをかけて返球してくるも、それも難なく返す。
卓球は単純なスポーツに見えて、その実はスピンの応酬だったり、ショートに打つかロングに打つか、フォアに打つかバックに打つか、結構な駆け引きが発生する複雑なスポーツだ。
カコン……カコン……
お互いの実力はそこそこ拮抗しているようで、中々点差がつかないまま8ー8までやってきた。
「やるねぇ遥ちゃん」
「亜美ちゃんこそ」
「亜美に肉薄するなんて、遥凄いわね」
「むきー、亜美ちゃんを倒すのはこの私よー! 亜美ちゃん負けるなー」
紗希ちゃんに負けた奈央ちゃんが何か言ってるよ。
とはいえ、あと何回かプレーすれば奈央ちゃんも私や遥ちゃんより上手くなるかもしれないね。
「うりゃー!」
「なんのー!」
カコンッ!
「よしっ」
激しい試合を何とか制したのは私。11ー9で何とかかんとか勝利をもぎ取ったよ。
これで決勝は私、奈々ちゃん、紗希ちゃんの3人による総当たり戦となった。
「打倒亜美!」
「きゃはは亜美ちゃん倒すのは私よー」
どうして私ばかり打倒されるのかな? いくら私でも、卓球はそんな化け物みたいな強さじゃないし。
「大体奈々ちゃんは卓球でも私に何回か勝ったことあるじゃん……」
「あ、そうだったわ」
「まったく……私だって何でも完璧じゃないんだから」
「まあまあ」
「さ、じゃあ始めるわよ」
というわけでまずは紗希と奈々ちゃんの対決。
この2人に関しても結構なライバル関係にあったらするんだよね。
バレーボールだって同じポジションだし、走りだって同じくくらい早いし割とバチバチやり合ってるイメージがある。
「おーし、いくわよ奈々美ー! おりゃっ!」
コンッ!
「勝たせてもらうわ」
コンッ!
「うわわ、小細工なしのパワー勝負に……」
「これはこれで見応えあるわね」
「なははー」
スピンで揺さぶるとかコーナーを狙うとか、そういった駆け引きが全くない、力と力の勝負。
どちらかがミスすれば得点になるという展開だ。
「さっさとミスりなさいよ!」
「そっちが!」
は、激しい試合になりそうだよ。
カンッ!
カンッ!
またどっちも卓球がそこそこ上手いから、中々ミスをしないんだよね。
「あ、しまった!」
とか思ってたら奈々ちゃんがちょっと打ち損じて高い球を上げてしまうミス。
卓球において高い球は絶好のチャンスボールになる。
「おーし! メテオストライクー!」
パカンッ!
「くっ!」
奈々ちゃんは残念ながら紗希ちゃんのスマッシュをリターン出来ず点を取られる。
「よしよし! もういっちょ!」
紗希ちゃんサーブで試合続行。 相変わらず小細工なしの試合を展開しているよ。
「何かあの2人似てるよな」
隣で観戦している夕ちゃんがボソッと呟く。
「うーん? そうかなぁ? 性格とかは違うけど……まあ、考え方が直線的だったりするとこは似てるかも?」
でもスポーツとかやってると、プレースタイルは結構似てるかもしれない。
何ていうか力技なんだよねー。
「おりゃ!」
カコンッ!
「ぬぅ! 奈々美めー!」
「ふふん」
この2人も中々に良い勝負を繰り広げているよ。
どっちが勝っても全然おかしくない。
「うおーりゃー!」
「まだまだー!」
2人ともお互いに「負けるかー」っていう感じが出ていて凄いよ。
観てる方も楽しくなってくる。
そして試合は紗希ちゃんのマッチポイントに。
「奈々美、吠え面かく準備は出来てるかしら?」
「まだ負けてないっての」
点差は2点。 十分追いつける差だけど果たして。
「喰らえー!」
カコンッ!
紗希ちゃん渾身のスマッシュが決まる。
「あー負けたー!」
「きゃははは! 見たか私の実力を!」
悔しそうに下を向く奈々ちゃんと、踏ん反り返る紗希ちゃんの対比は見ていて面白い。
「今度やる時は勝つわよ!」
「精々頑張る事ねー」
やっぱりこの2人は2人で何処かライバル意識があったんだねぇ。 紗希ちゃん煽る煽る。
「んじゃ、休憩室したら私と紗希ちゃんでやる?」
「ほいほい! このまま亜美ちゃんにも勝って優勝よー」
「いやいや、そう簡単には負けないよ」
修学旅行の時にクラスでやった卓球大会では私が勝ったけど、あれはあくまでダブルス大会。
シングルスでやったら多分私とも互角ぐらいだろう。
負けないように頑張るよ。
さて、連戦になる紗希ちゃんに考慮して15分程休憩を挟んだ後、決勝リーグ2戦目である私と紗希ちゃんの試合を開始する。
「じゃあいくよ」
今回は私からのサーブ。 まずは横回転のサーブから入るよ。
卓球は回転のスポーツ。 パワープレーだけじゃ勝てないよっと!
カンッ!
私の打った横回転サーブら、相手コートでバウンドすると大きく曲がって軌道を変える。
更に、中々のスピンがかかっているピン球速は、適当に打ってもあらぬ方向へ飛んでいくものだ。
回転に対して正しく打ち返さないと、返球さえ難しいスポーツなのである。
「よっ!」
カンッ!
うわわ、あっさり返されたよ。 紗希ちゃん、回転に対しての対処しっかりしてるんだ。 しかもきっちり逆回転かけてるし。
「やるねぇ」
カンッ!
「パワープレーだけが私のスタイルじゃないってね!」
カンッ!
これは少々タフな試合になりそうだよ。
もう少しやりやすい相手かと思ったけど、中々強敵みたいだ。
「おりゃっ!」
カコンッ!
甘く入った球を見逃さずにスマッシュを決められてしまう。
まさかの先制を許しちゃったよ。
「よーし! どんどん来たまえー!」
さて、どうしたものかねぇ。
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