第574話 休日の過ごし方

 ☆紗希視点☆


 さて、勉強合宿というなの共同生活が始まったわけで、今日は最初の休息日。

 朝起きて午前中、私は食事当番ということなので、キッチンへ……向かう前に洗面所へ。

 ちなみに私は朝がとても弱い。


「ふみゃ」

「あんた相変わらず寝起きは誰かわからないわね……」


 洗面所に来ると、奈々美が洗顔を終えてさっぱりしている所だった。

 すっぴんでもレベル高いわねこの顔面。


「あふぁよ〜」

「シャキッとなさいな……」

「おー」


 意識はしっかりしているのだけど、頭が回らない。


 とりあえず冷水で顔を洗ってシャキッとする。

 ふぅ、気持ち良いわね。


「よしっ!」


 完全覚醒したわ。 さて、一旦部屋に戻り軽く身だしなみを整えてキッチンへ向かう。

 私はその日の気分で髪型を変えたりする。

 今日はサイドテールの気分。


「おそよう亜美ちゃん」

「あはは、おそようだねぇ。 お味噌汁作ってくれる?」

「りょ!」


 亜美ちゃんはでかい炊飯器で米を炊きながら、9人分のハムエッグを作っているみたいね。

 私は頼まれた味噌汁作りをするわよ。


 出汁を取り、お味噌を溶いて具を入れて、ちょっとアクセントにキムチの素を投入。

 これが中々に美味しいのよね。 我が家ではこれが基本よ。


「くんくん。 何だか良い匂いだねぇ。 キムチを入れた?」

「えぇ。 味見してみる?」

「うん」


 亜美ちゃんにお味噌汁の味を見てもらう事に。


「ん。 美味しい! これは寒いこの時期には良いね。 温まるよ」

「でしょ。 パクって良いわよー」

「あはは、今度試してみるよ」

「ところでさ、午後から希望ちゃんや奈々美と出かけるんだけど亜美ちゃんも来る?」

「お、行く行くー。 どこ行くの?」

「まあ電車乗ってその辺散策しようかなって」

「1ヶ月この辺で生活するんだもんね。 周辺を知っておくのは大事だね」


 と、まあそういう事である。 この辺りの地理を把握しつつショッピングをしようということだ。

 いつもうろつく街とはまた少し違うだろう。



 ◆◇◆◇◆◇



 朝ご飯、お昼ご飯を食べた私達はお出かけ組は、皆に一言告げてから屋敷を出る。

 普段買い出しに行く今井君や佐々木君はこの辺は見て回ったのかしら?


「駅ってどっちだっけ?」

「ちょっと待ってね」


 亜美ちゃんがスマホのマップアプリで周辺の地図を確認してくれる。


「こっちだねぇ」

「亜美ちゃんは便利だね」


 希望ちゃんがそう言っているけど、便利なのはアプリよね。

 私達は亜美ちゃんに続き歩いていく。


「しかしあれね、凄い高級住宅街ね」

「そうねー。 私達も奈央の所為でこういうの見慣れちゃってるとこあるけど……」

「ん? あのトラック何かな?」


 前の方からトラックが走って来たと思うと、私達が歩いて来た方へ走り去って行った。

 ま、いっか。


「何だったのかしらね?」

「奈央がまた何か取り寄せたんじゃないの? 気にせず行きましょー」

「そだね。 行こ行こ」

「はぅ」


 奈央が何か取り寄せたんなら帰ってから聞けば良いでしょ。

 今は気にするだけ無駄ねー。

 私達は、そのまま駅を目指して歩いていく。



 ◆◇◆◇◆◇



 電車に乗り、移動を開始。

 まずは隣駅に向かう。 特急車両も止まる大きな駅だし、色々見る所はありそうだわね。


「にしても、普通の1、2年生が授業受けてるのに私達は遊びに出てるって、良い気分ね」

「これでも私達は受験生だからね」

「そぅだよ」

「勉強はしっかりやってんだから、休息日はゆっくりしたり遊んだりするのー」


 その為に皆で決めた休息日よ。 休息日は勉強を忘れてリフレッシュするのよー。


「普段使わない路線ってだけドキドキするねぇ」

「亜美ちゃんはいつもワクワクドキドキしてるね」

「好奇心の塊みたいなものだものね」

「きゃはは、亜美ちゃんらしい」


 亜美ちゃんは「知らない事を知るのは楽しいじゃん」と笑いながらそう言った。


 隣の駅に着き電車を降りると、何ともでかい駅ね。

 

「出口一杯あって目が回るよぅ」

「いやいや、ちょっとした迷路ね」

「亜美ちゃんよろしく!」


 便利人間の亜美ちゃんに全て丸投げしてお任せする。

 亜美ちゃんはスマホをスッと取り出して地図を確認する。


「東出口から出ると近くにショッピングモールがあるみたい」

「東出口ね。 えーと、案内板はと……こっちね」


 奈々美が案内板を見て東出口へと向かう道を見つけてくれる。

 という事で、東出口へ向かい歩いて行く。

 平日のお昼なので、人もそこまで多くなく歩きやすいわね。


 東出口から駅の外へ出ると、何ともまたでかい街の様だわ。 私達の住んでる街からすればかなりの都会ね。


「東京みたいだねぇ!」

「たしかに似た感じね。 で、ショッピングモールは何処よ亜美ナビゲーター」

「人間だし、ナビはスマホだもん」


 文句を言って頬を膨らませながらスマホを見て道案内を始める亜美ちゃん。 なるほど、こりゃ亜美ナビゲーターだわ。 略して亜美ゲーターね。 何かワニみたい。


 亜美ゲーターに従いついていくと、大きなショッピングモールが姿を現す。


「おーでかいでかい」

「凄いわねぇ。 さ、入りましょう。 持って来た服が少ないから、ちょっと買い足しときたいのよね」

「そだねぇ。 部屋着と外着買い足しておきたいよね」

「下着もねー」

「うんうん」


 どうやら皆、あまり服を持って来ていないらしいので、今日買い足す予定のようね。

 ということで、まずは洋服を見に行く事にした。


 とりあえずはお手頃価格で服が買える有名店に入った。

 

「まだまだ寒いから、こういう温かそうなのが良いわよね」

「あのお屋敷、空調ばっちりだから部屋着はあまり気にしなくて良いかもしれないねぇ」

「そぅだね。 外着は温かそうなのにしよう」


 と、それぞれ服を選び始める。 私は私で服選びを始めるわよ。

 やっぱり可愛らしいのが良いわよね。

 冬服は夏に比べてあまり可愛い服ってないのよね。

 この辺のトレーナーとかにしとこうかしら。

 

「亜美ちゃんー、これにしよー?」

「うん? お揃いにするの? 良いよー」


 亜美ちゃんと希望ちゃんは姉妹でお揃いの服を買うらしい。

 2人の服の趣味って意外と合わないらしく、あんまりお揃いを着ている姿は見ないのよね。

 これは中々貴重なんじゃないの?


「私はこれとこれにしようかしら」


 奈々美は奈々美で早くも3着程服を手に取っていた。

 奈々美は何着ても似合うから、服選ぶのも楽しいわよね。

 私も何着ても似合うって言われるし何だかわかるわ。

 よーし、私もあと何着か買っちゃおーかしらね。



 ◆◇◆◇◆◇



 たんまりと服を買い足した私達は、荷物を持ちながらフードコートでジュースを飲みながら休憩中。


「いやー、買い込んだわねー」

「きゃはは、そうねー」

「はぅ、お財布が薄くなったよぅ」

「ごくごく……私もATMでちょっと下さないと」


 皆、考えなしにお金を使ってしまったわね。 私も今はバイトしてないし、ピンチなのよね。

 亜美ちゃんは稼ぎがあるみたいだから余裕そう。

 奈々美も麻美から借りれば何とかなるらしいわ。

 私も大学行ったらバイトしないとね。

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