第546話 今年も西條邸クリスマスパーティー

 ☆亜美視点☆


 さてさて、ファンタジーランドで遊び倒した翌日の今日はクリスマス。

 今日も1日勉強の事は忘れてクリスマスパーティーを楽しむ予定です。


 そして今年も、奈央ちゃんから西條邸で開かれるクリスマスパーティーに招待されています。


「本当に服とかは普通で良いのか?」

「うん。 奈央ちゃんがドレスとかスーツは用意してくれるんだって。 去年もそうだったし、奈央ちゃんの誕生日パーティーでもそうだったでしょ?」

「そうだったな。 至れり尽せりだな」

「奈央ちゃんは私達友人の為に色々やってくれてるよね。 感謝感謝だよぅ」


 その通りなんだよね。 今まで連休の旅行やクリスマスパーティーとか、色々大きなイベントをやる時は力を貸してくれた。

 いくら天下の西條家のお嬢様と言っても、ここまでしてくれる友人はそうはいない。

 本当にありがとうだよ。


 ピンポンー


「あ、奈々ちゃん達かな」


 今日は奈々ちゃん達とは我が家……あ、いやいや、夕ちゃんの家で合流して、時間になったら出発する予定にしている。


「来たわよ」

「いらっしゃい。 もうちょっとで準備終わるから待ってて」

「はーい!」


 元気に返事するのはやっぱり麻美ちゃん。 去年はその豪運でビンゴ大会でいきなり景品を貰っていたっけ。

 私は……うぅっ。


「はぅ、お待たせー。 いつでも行けるよぅ」


 準備に少し時間をかけていた希望ちゃんが、ようやく準備完了という事で出発することにした。

 最初、奈央ちゃんが迎えの車を出すと言ってくれてたんだけど、そんなに遠くないしそこまでVIPってわけじゃないので遠慮させてもらった。

 私達みたいな一般人が奈央ちゃんの家の高級車で入って行ったら目立っちゃって仕方ないよ。


「今日はどんな有名人来てるかなー?」

「去年は有名アイドルグループにナンパされたわよね」

「あははー! 私、浅田君と踊ったんだよー」

「浅田っていうと Sunriseのリーダーのか? すげぇな麻美」

「ふふんー! 私の可愛さならトーゼンだよ宏太兄ぃ」

「亜美も去年は沢北大地にナンパされてたわよね」

「うん? そういえばそだったね」

「沢北大地って、たしか今年銀幕デビューした人気若手俳優だろ? 亜美ちゃんもさすがだぜ」

「あ、あはは……」

「皆モテるんだな」


 夕ちゃんは今更ながらそんなことを言っていた。


「学園で見てればわかるでしょ?」

「いや、そりゃ同世代の一般人から見たらそりゃ亜美や麻美ちゃんはモテるだろうってわかるが、目の肥えたアイドルや俳優からもモテるとは思ってなかったからな」

「だよな。 つくづくとんでもない幼馴染を持ったと実感させられるぜ」

「わかんないわよ? あんた達だって今日は超かわいいアイドルや美人女優にダンス誘われたりするかもよ?」

「2人もかっこいいーからねー!」

「ふん、まあな。 奈々美、俺様がゆりりんに誘われても妬くなよ?」

「妬かないし」


 と、宏ちゃんは自信満々である。 たしかに身長高くてかっこいいもんねぇ。

 でもダンス下手だから、相手に迷惑かけるんじゃないかって心配になるよ。


「亜美。 俺もイケメンだからな。 誘われても文句言うなよ?」


 ここにも自信満々なのがいたよ。 私は溜息をついて「そだねぇ」と軽く流しておいた。

 途中で1人で待っていた渚ちゃんを拾って、西條邸を目指して歩いていく。 

 西條邸に近付いていくと、明らかにその辺の一般人ではなさそうなオーラを漂わせた人や高級車が目立つようになってきた。

 これはこれは、今年も大物が一杯来てそうだねぇ。


「おいおい、マジで俺らも呼ばれてるのかこれ? 明らかに雰囲気が違うぞ」


 この雰囲気に飲まれた夕ちゃんが少しビビっているけど、私は招待状を見せて間違いなく招待されていることを証明する。


「お、おう」

「さ、行くよ」


 私は先頭で西條邸の門をくぐる。 入ってすぐの場所で受付があるので、そこで本日の招待状7人分を出して確認を取ってもらう。


「どうぞ、中へお進みください。 奈央様は自室におられますので、そちらへどうぞ」

「ありがとうございます」

「れっつごー!」


 麻美ちゃんはこの雰囲気の中でもいつも通りなのが凄いと思う 本当に怖いもの知らずといった感じである。

 奈々ちゃんはちょっと心配そうにしているけど。

 逆に希望ちゃんはすでに怖気づいているよ。


「はぅ……」


 こっちはこっちで心配である。


 お屋敷の中に入って、私達は奈央ちゃんのお部屋を目指す。

 私は脳内マッピングで奈央ちゃんのお部屋までの道なら記憶している。 他のお部屋の位置関係は全然わかんないけど。


 奈央ちゃんの部屋の前に来て、ドアを軽くノックする。


「はいはいー。 あら、来たわね。 入って入って」


 と、すでに綺麗なドレスに身を包んだ奈央ちゃんが応対に出てきた。 こういう服を着てる奈央ちゃんはこういう場でしか見れないから貴重である。


「紗希ちゃん達はもう来てるんだ」

「やほー」

「おーっす」


 2人も既に私服からパーティードレスに着替えて待機中の様だ。 うん、似合ってる似合ってる。

 相変わらずその人の雰囲気に合わせたカラーリングのようである。

 今年は紗希ちゃんが薄いピンク、遥ちゃんが黒いドレスのようだよ。


「皆にもドレスやスーツを用意してあるから着替えちゃって。 女子は仕切りのこっち側で男子は仕切りの奥ね」

「らじゃだよ」

「おう」


 という事で男女に分かれて着替えを開始。

 かかっているドレスの上には、それぞれどれが誰用かわかるように名札が付けられていた。

 私は今年も青系統だよ。 絶対髪の色で決めてるよねこれ。


「んしょ」


 まぁ、用意してくれたものだし文句は言えないよね。 という事でササッと着替えちゃうよ。

 奈々ちゃんは隣でワインレッドのドレスに着替えている。 希望ちゃんはやっぱり黄色系統で麻美ちゃんはオレンジだ。 渚ちゃんは白いドレスで綺麗だねぇ。


 着替え終わると、奥の方から男子2人も出てきた。

 男子2人はどちらも同じようなタキシードだ。 似合わないねぇどっちも。


「慣れないなぁこういうの」

「そうだなぁ」


 2人とも動きにくそうにしている。 普段着ないからね。


「ふふ、皆似合ってますわよ」


 と、奈央ちゃんは私達を称賛してくれている。


「さて、時間まで少しありますからゆっくりしていてちょうだい。 私はちょっと挨拶回りを済ませてきますから終わったら皆で大広間へ行きましょ」

「おっけー」


 奈央ちゃんはVIP様たちへの挨拶があるみたいなのでここで一旦退室。

 私達は時間まで談笑して時間を潰すことにした。


「にしても神崎のそれ胸元やばくね?」

「こぼれそうでしょー? 一応大丈夫ようにはなってるみたいだけど」

「そういえば柏原君は来れなかったんだね?」

「さすがにこの時期に遊ぶのはダメって言われたみたいね。 仕方ないわよ」

「まあ私達もそうだけどね。 受験生だし」

「ふ、俺は関係ないけどな」


 就職内定の宏ちゃんはすでに余裕で卒業待ちの状態だ。 羨ましいよ。

 そして、遥ちゃんの彼氏も来れなかったようだ。 代わりに昨日はデートしてきたらしいので遥ちゃんはそれで満足らしい。

 20分程待っていると、挨拶回りを終えた奈央ちゃんが部屋へ戻ってきた。

 もうすぐパーティーも始まるって事で、私達は大広間へ移動を開始するのだった。

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