第530話 東京で遊ぼう

 ☆亜美視点☆


 東京へ来て宮下さん、新田さんと遊びに出てきた私。

 まずはお昼ご飯ということで2人のオススメである白華屋はっかやというお店のカレーうどんを食べた。

 カレーにも出汁にもうどんにも拘った絶品の一品であり、私は大満足である。

 今度東京に来た時は皆にも紹介したいお店だよ。


「やー、食った食ったー」

「美智香姉、女の子がお腹ポンポン叩いてそんな……はしたないよ」


 まるでそのへんのおじさんみたいな事をしている宮下さんに対して、新田さんが恥ずかしそうに説教している。 宮下さんはどこまでも面白い人である。


「でも本当に美味しかったよ。 満足満足」

「でしょー? ここのカレーうどんは一度食べたら忘れらんないよ」

「ですです」


 本当に2人はここのカレーうどんが好きなようだ。 さすが自称白華マイスターだね。


「さて、こっからは東京散歩って感じだけどどうするかねー?」

「こっちの事は私はよく知らないから、お2人にお任せしたいところだね」

「そうですねぇ。 それでは定番のスカイツリーなんてどうです?」


 おお、東京スカイツリーだね。 実はまだ行ったことが無いけど、観光スポットとしては定番だ。

 ここからそんなに時間もかからないという事なので、私はそこをお願いした。


「よし、じゃあスカイツリーの辺りを見に行こうー」

「おー!」


 白華屋を出て、ここから東京スカイツリーを目指し移動を開始。


「スカイツリーは近くにショッピングモールがあったり水族館があったりして、そこだけでも結構時間を潰せるのよ」

「たまに2人で買い物に行くんですよ」

「へぇ、やっぱり2人は仲が良いんだね」

「当たり前じゃん。 こんなちっちゃい頃から一緒に遊んでんだもん」


 と、親指と人差し指の先で大きさをわかりやすくしてみせてくれる。


「それだと私達、母親のお腹の中にいる頃から一緒みたいになってる」


 と、それを見た新田さんは冷静なツッコミを披露する。 この扱い慣れた感じなんか、長年一緒に過ごしてきた者同士だなぁと感じる。

 私達5人、いやいや……麻美ちゃんも入れたら6人もこんな風に映ると良いなと思う。


「あははは、これは言い過ぎたか!」

「はあ、この人といると大抵の事は冷静に見られるようになりますよ」

「あ、あは、あはは……」


 宮下さんが問題児であろうことは何となく気付いてはいたけど、この感じだと新田さんは相当苦労してきたんだろうね。


「よし、ここでタクシー乗るよ」

「え、タクシー?」

「はい、ここからならタクシー乗らないとちょっと遠いですから」

「さっきそんな時間かからないって……」

「うん? タクシーなら20分だよ」


 乗り物込みの時間ーっ?!

 東京ナメてたよ。 手持ち足りないかも。


「ごめ、ちょっとお金下ろしてくる」

「おけー」


 2人に少し待ってもらい、銀行で少しお金を下ろす。


「うわわ、預金額がちょっと増えてる」


 今月発刊される私の新作発表があったあたりから、私の旧作がまたじわじわ売れているという噂は聞いてたけど。


「想像してたより入ってるや。 おっと、急がなきゃ」


 ささっとお金を下ろして2人の下へ。 2人は既にタクシーを捕まえて待ってくれていた。


「ごめん! お待たせだよ!」

「オッケーオッケー! 運転手さん、スカイツリーまで!」


 タクシーに乗り込んで、タクシーは一路スカイツリーまで。

 2人は手持ち大丈夫なのかな?


「タクシー代割り勘で良いよね?」

「うん」


 宮下さんから聞かれて私は頷く。 その為にお金下ろしたんだし。

 宮下さんも懐が寂しいのか「サンキュー」と、返してきたのであった。


 タクシーが走る事約20分。

 私達はスカイツリーの足元までやってきていた。

 私は真下からその建物を見上げる。


「うわわ! 高いよ! うわわ!」

「あはは、はしゃいじゃって。 清水さん可愛いね」

「日本一高い建物ですからね」

「うわわ! うわわ! 写真写真!」


 私はスマホを構えて下からパシャパシャと撮影する。

 まるで田舎者のそれである。


「展望台上がる? 夜来ると街の灯りで綺麗に見えるんだけど、昼は昼で壮観よ」

「上がる上がる」


 私は興奮しっぱなしである。


「世界一高いバレーボールプレーヤーが日本一高い建物に興奮してるのウケるね」

「可愛いじゃないですか」


 年下の新田さんにまで可愛いと言われてしまい、少し恥ずかしくなる。

 しかし、好奇心が勝る私はずんずん中へ入って行くのであった。


 展望台に上った私は、東京の街並みを高い所から一望する。


「凄い凄い。 建物が小さいよ」

「あはは。 清水さん面白いね」

「清水先輩って子供っぽいところあるんですね」


 と、新田さんにまで言われてしまった。 私は好奇心旺盛な性格で一つの事に興味を持つとちょっと子供っぽくなっちゃうんだよね。 自分でもわかってはいるんだけどこればっかりは変えられないよ。


「写真写真」


 私はまたまたスマホで写真をパシャパシャと撮影する。 そんな私を宮下さんと新田さんが笑いながら見つめている。 私はしばらく東京の街並みを見下ろしていた。



 ◆◇◆◇◆◇



 展望台を降りると次は水族館へと向かう。 こんなところに水族館があるんだねぇ。

 ショッピングモールもあるって言ってたよね。


「ここの水族館はちょっと変わってるのよね」

「変わってる?」

「入ればわかりますよ」


 ということなのでとりあえず中に入ってみる。

 普通の魚が泳いでるだけだと思ったけど、なんだかアロマのいい香りが漂ってくる。


「アロマ?」

「そそー。 変わってるでしょ」

「それ以外にもありますよ。 あそことか」


 そう言って指さす方向を見ると、クラゲの入った水槽がライトアップされている。

 クラゲをライトアップっていうのも変わってるけど、これはこれで凄く綺麗だ。


「うわわー、綺麗だねぇ」

「ふふ、でしょー」

「デートスポットとしても結構いいところですよね」

「デートしたことないけどね!」

「美智香姉は彼氏千葉だもんね」

「まだ彼氏じゃないけど」


 と、ここでガールズトークに発展する。 この手の話は私の大好物である。

 宮下さんと三山君はまだ正式に付き合っているわけではないとの事らしい。 三山君は受験で忙しい時期だし、そういった余裕が無いからなのかもしれない。

 ここでもう1つ気になるのは、新田さんである。 宮下さんやバレーボール部以外の人との人間関係は一切謎のベールに包まれている新田さん。

 さっきの言い方だともしかして新田さんには。


「新田さんってもしかして恋人いたり?」

「そうそう! 千沙っちってば生意気にも中学生の頃から付き合ってる彼氏がいるのよ! この私を差し置いて先に彼氏を作っちゃうなんて許せないわ」」

「べ、別にいじゃない……」


 どうやら新田さんには彼氏がいるようだ。 小さくて可愛いけど女の子だもんね。

 身長的にはうちの奈央ちゃんよりも低いようである。 ただお胸の方は新田さんの方があるようだ。

 年齢相応の物をお持ちのようである。 こんだけ可愛けりゃ彼氏がいてもおかしくないか。


「そんな事より次行きましょうよ」

「そだねー」


 という事で次はショッピングモールの方へ向かう事になりました。

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