第327話 一緒にゲーム
☆麻美視点☆
お昼ご飯を食べた私達は、すぐ隣の会場で行われるゲームショーのイベントに参加するために列に並んでいる。
長蛇の列となっているけど、これだけゲーム好きの人がいるというのは単純に嬉しいものだ。 この中に、私が今までオンラインゲームや対戦ゲームで一緒に遊んだことのある人がいるかもしれないと思うと、凄く楽しいねー。
「すんごい数だな……」
「そだねー! ゲーマーの祭典だからねー! 皆ゲーマーだよこれはー!」
「とんでもない集団だな」
「私達もだよー!」
「お、俺もか……」
「うむ! 今日から夕也兄ぃもゲーマーだー!」
夕也兄ぃは「ははは、お手柔らかに頼むぜー」と、苦笑いしながら応えた。
亜美姉も何だかんだ言って楽しいって続けてくれているし、夕也兄ぃもやってみれば案外楽しくて続けてくれるかもしれない。
「しかし、冬だってのに熱気が凄いな」
「本当にねー」
「結構参加したりするのか?」
「うんー。 毎年必ずー! っていってもここ3年くらいだけど」
「そうか。 まあそれ以前だと小学生だもんな」
「そだねー」
その頃でも十分ゲームにはどっぷりだったけど、さすがに小学生1人で来れるような場所ではなかったね。
「しかし、麻美ちゃんは何でまたそんなゲーマーに?」
「何でだろうねー? 気付いたらゲームやってたよー。 家族も友人もあんまりやってないのに」
そう、気付いたらゲームを遊んでいたのだ。
最初は多分ゲームセンターで遊んだのがきっかけだろう。 アーケードゲームで遊んだゲームが家庭でもできるものもあると知って、家庭用ゲーム機をねだって買ってもらい色々遊ぶようになった気がする。
だから最初の頃はシュ-ティングやベルトアクション、パズルゲームが多かった。
格闘ゲームのセンスは無かったのでいまだに手は出していない。
「多才だよな、麻美ちゃんも」
「そうかなー? 亜美姉ほどじゃないよ?」
亜美姉は本当に何でも出来ちゃう、正真正銘の天才だと思う。 RPGにしたら全ステータスMAXのキャラだね。
「ま、まあ、あいつは何か異常だからな。 麻美ちゃんだって、ゲームは上手いしバレーボールだって1年生レギュラーだろ? 月ノ木祭で見せたエアーガンの狙い撃ち精度だって凄かったし、十分多才だ。 最近は料理だって上手くなったしな」
「んー、そっかなー? でも、夕也兄ぃがそう言ってくれるならそうなんだね」
「あぁ」
なんていうか、ちゃんと私の事も見てくれているみたいで凄く嬉しい。
これで妹扱いが無くなれば言うこと無しなんだけどなー。
そうやって2人で話をしながら列が進むのを待つこと40分。 ようやく会場に入ることができた私達は、色んなメーカーのブースを回り始めた。
「ここは俺でも知ってるメーカーだな」
「おおー、そうなんだ?」
有名なRPGのシリーズを出しているメーカーである。 今回はそのシリーズの新作情報があるとの事で、メインイベントの1つにもなっており、最初の方を試遊出来るようにもなっているらしい。
私はまたもや列に並び、早速試遊することにする。
夕也兄ぃは私の隣に立って、その様子を眺めている。 んー、こうやって見てもイケメンだー。
「しかし、今のゲームってグラフィックとかもすげーな。 まるで実写じゃないか?」
「そだねー。 技術の進歩って凄いよー」
今私が試遊している有名RPGの新作のグラフィックは、本当に実写さながらの美麗グラフィックである。
旧作を最初のシリーズからプレイしてきた私も、これには感動せざるを得ない。
とはいえ、グラフィックにばかり力を入れる近年の傾向もどうなのかとは思っている。 もちろん、見た目が綺麗になるのは良い事だし大事だとも思う。 だけど、そこに拘り過ぎて、肝心の中身が残念なゲームが増えているのもまた事実。 どんなに綺麗でも、ゲームの中身がつまらないのでは意味は無いのだ。 未だにレトロゲームが遊ばれているのを見れば一目瞭然である。
「でも、この新作は期待されてるだけあって、プロローグから引き込まれる面白さだよー!」
「確かになー。 ゲームを全くやらない俺も、続きをやってみたいと思えるような導入だ」
こういう作品がもっと世に出てくれることを願うばかりである。
次に向かったのもこれまた有名メーカーのブース。 こちらは有名なアクションゲームやパーティーゲーム多く作っているメーカーさんだ。
こちらも新作アクションゲーム試遊が可能となっている。
この新作は原点回帰をテーマにした完全横スクロールのアクションゲームになっていて、昔懐かしい感じの作りになっている。
2人プレイ可能という事で、夕也兄ぃにもコントローラーを持たせてやってみることに。
「む、むむ……この野郎! 跳べ!」
夕也兄ぃはコントローラーを持つ手を上下左右にブンブン振りながら操作している。
ゲーム初心者がアクションゲームやレースゲームをやるとありがちなやつだねー。 可愛い一面を見た気がするよー。
「くそ! この!」
「あはは、頑張れ夕也兄ぃー」
最初の敵も倒せなかったり、最初の落とし穴が飛び越えられない夕也兄ぃを応援しつつ、私は楽しむのであった。
試遊を許された時間目一杯を使っても、夕也兄ぃは1ステージすらクリアできずに悔しがっていた。
「初めてコントローラーを握った人なら、そんなもんだよー」
「そ、そういうもんか? 俺の前に並んでた子供なんか、楽々クリアしてたぞ?」
「あの子は家でゲームとかやってるんだろうね。 バスケだって、初心者にいきなりバスケットボール持ってドリブルしてみろなんて言っても、まともに出来ないでしょー?」
「まぁ、そうだな」
「そいうことー。 さーて次のとこ向かうよー」
「おう」
次に向かうはステージ。
ここでは、最初に見に行ったメーカーの新作RPGの新情報や発売日などが発表されるメインイベントが開催されるのだ。
今日はこれを見に来たと言っても過言ではない。
「うお、凄い数だな……」
「今日のメインだからね! 私も楽しみにしてたんだよー。 夕也兄ぃ、はぐれないように手を繋いどこー!」
「そうだな。 こんなとこではぐれたら、会場出るまで再会できなさそうだ」
夕也兄ぃとがっちり手を繋いではぐれないようにする。
これは結果オーライ。 こんな事で夕也兄ぃと手を繋ぐイベントに発展するとは思ってなかったよー。
今までだって繋いだことはあるけど、これはデート。 ……これってデートって言っていいのかな?
「お、始まるみたいだぞ」
「う、うん」
ステージ上にはゲームの開発陣の人達や、司会の人達が立ち、バックのディスプレイには過去作の映像と、シリーズ通して有名なOPテーマが流れている。
おおー、テンション上がって来たー。
「おおおおお!」
周りのお客さんのテンションもいきなり最高潮。皆がそれだけ待ち望んだ最新作だという事だ。
そしつ、私もその1人だ。
その後会場では、新作のキャラクター紹介やゲームシステム。 導入部分の話や発売日などが発表。
発売日は11月末に予定されているという事らしい。 楽しみだー。
最後に開発秘話や没キャラ、没モンスターなどの話で盛り上がり、締めの挨拶をしてイベントは終了した。 んー満足だー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます