第47話 水着美女コンテスト

 ☆亜美視点☆


 現在、水着美女コンテストに私、希望ちゃん、奈々ちゃん、紗希ちゃんの4人で参加している。

 今から奈々ちゃんの出番だよ!


『エントリーナンバー⑦ 藍沢奈々美さん 15歳高校1年生です 黒の際どいハイレグを見事に着こなす15歳の少女をご覧ください!』


『おおおおお』

『ビッチ! スゲー! ビッチ!』

「そこ! ビッチとか言わない!」

『ありがとうございます!!』


 なんか変な盛り上がり方してる!?


『じゃあ、アピールタイムお願いしまーす』

「⑦ 藍沢奈々美! 歌います!」


 奈々ちゃんは歌でアピールしてきたかぁ。

 奈々ちゃん、歌上手いもんねぇ。


 ステージ上の奈々ちゃんは、有名アイドルも顔負けのダンスと歌唱力を披露して、観客を虜にしていった。


『奈々美さまー!!! 罵ってくださーい!』

「そこキモイ!」

『ぐはぁー!! 最高ーっ!』


 奈々ちゃん変なファンが付いちゃってるよ!

 大丈夫かなぁ!?


「ありがとうございました!! 宏太! 見てたー!?」

「おーう!」


 男の人たちの視線が一気に宏ちゃんに注がれる。

 凄い殺気だよぉ……。


「ふぅ、楽しかったわぁ」

「奈々ちゃん、凄かったね? アイドルみたいだったよ?」

「ふふん、まぁね」


 自信満々だっただけある。

 と、次は紗希ちゃんだね。

 紗希ちゃんも、奈々ちゃんに負けず劣らずのダイナマイトボディだし注目だよ。


『エントリーナンバー⑧ 神崎紗希さん16歳 こちらも高校1年生。 春まで中学生だったとは思えないような、ダイナマイトボディに、一見ミスマッチなピンクと白の水玉模様のワンピースタイプの水着で登場です!』

「やっほー! こんにちはー! エントリーナンバー⑧! 神崎紗希です!」

『うおおおお! 紗希ちゃん萌え~!!!』

「あはははっ、萌え萌えきゅん!」

それがし、萌え死ぬでござるぅ!』


 ええ…お侍さん?


「やるわね紗希。 こんな伏兵が」

「す、すごい盛り上がってるね」


 なんか、私と希望ちゃんがステージに上がる頃には会場のテンションとんでもないことになってそう……。

 

『紗希ちゅわ―ん!! 萌え萌えビームを吾輩にも―!』

「しょうがないなぁ! 萌え萌えっビームっ!」

『ぐはぁぁぁ』


 何なのこのノリ……。


『それでは、アピールタイムの方をお願いします』

「はーい。 それじゃあねぇ、そこの青い水着のお姉さんと、そこの可愛らしいフリフリのお姉さんと、ピンクのお姉さん、ちょっとステージに上がってもらっていいですか?」


 3名ほど観客席からステージに呼び出した紗希ちゃん……。


「ま、まさか?」

「神の手やる気じゃないでしょうねあの子?」

「えぇ?! 知らない人にあれやるの?! 紗希ちゃん度胸凄いね?!」


 そのまさかだった。


「ちょっと失礼しますね」

『ひぃ!?』

『きゃっ!?』

『あっ……』

「ふむふむ。 右の方からトップバストを言い当ててあげましょう。 82! 79! 92!」

『えっ?! 嘘……』

『合ってる……』

『私も……』


 私、ちょっと半信半疑だったんだけど、紗希ちゃんの神の手は本物だよ!

 初対面でもバッチリ当てちゃうんだ!?


「皆さんすいません! 初対面なのにこんな」

『いえいえ!』

『面白かったです』

『揉むの上手すぎて感じちゃった』

「ありがとうございました」


 ちゃんと協力者に謝ってお礼も出来る辺り、しっかり者だなぁ紗希ちゃん。


「皆ー! ありがとうございましたー!」

『紗希ちゅわぁぁぁん!!』


 そう言って、ステージから戻ってきた紗希ちゃん。


「あー、きも」

「えぇっ?! ノリノリだったじゃない?!」


 びっくりだよ! その演技力、女優とかアイドルになれるよ紗希ちゃん!


「紗希、中々やるわねぇ?」

「ふふん、結構こういうの慣れてんのよ私」


 なんで慣れてるのかは知らないけど、これは負けてられないね。


『次は⑨⑩同時に登場してもらいます! 血の繋がっていない義理の姉妹、清水亜美さんと、雪村希望さん、ともに高校1年生の16歳です! 姉の亜美さんは、真っ白なフリフリのビキニ姿で登場! 可愛らしさが際立ちます! 妹の希望さんは、なんとも際どいマイクロビキニで登場! 可愛らしい容姿に似合わない大胆な水着で勝負です!』


「はぅぅ!」

「ほらほら、希望ちゃん、前に出ないとアピールできないじゃん」

『うぉぉぉぉぉぉ!!!! 2人とも可愛い!!!! 天使と女神だ!!!」


 うわわ、凄い盛り上がってる?! 私もこういうのは慣れてないんだけどなぁ。


「えっと、こんにちは!! 今日は友達と一緒に海水浴に来たので思い出作りに参加してます!」

『声まで天使だぁ!!!! 亜美たんマジ天使!』


 て、天使って…。


「えと、雪村希望ですっ! よろしくお願いします!!」

『希望たん!! エロ女神だぁ!! ポロリ! ポロリ!』

「はぅ! しませんっ!」


 希望ちゃんも何だかんだ頑張ってるなぁ。 うんうん。


「夕ちゃん、宏ちゃん見てるー? 私達可愛いでしょー?」

「あ、亜美ちゃん?!」

「おーう! どっちも可愛いぞぉ!」

「亜美ちゃん天使かぁ!!」


 次の瞬間、男の人の視線が夕ちゃんと宏ちゃんに注がれる。

 凄い殺気だ。


『ちっ、またお前かよ』

『イケメンに限るってか?』


 あれ? これはやっちゃいけなかったかな? 夕ちゃん達からこっちに意識を向けさせないと。


「そ、それじゃ、アピールします」


 私はスタッフのお姉さんに頼んでおいたバレーボールを借りて、ボールをトスする。


「よっ!」


 弱めにスパイクを打つと、希望ちゃんが定位置でレシーブを返してくる。


『おお……上手いなぁ』

『亜美たん、跳ねるたびに胸のバレーボールがプルンプルンしてる!」


 バレーボールほど大きくはないけど……。

 少しずつスパイクの威力を上げていく。


『あれ……そういえばさっきの⑦⑧とこの⑨⑩の娘って』

『おお、そうだ! 月ノ木女子バレー部じゃね? インターハイ優勝した我が県の?』


 うわわ、有名になっちゃってる?

 ギャラリーの声は他所に置いといて、私と希望ちゃんはラリーを続ける。

 凄いなー希望ちゃん。 さっきから私のスパイク全部同じとこに返してくる。

 ちょっと意地悪しちゃえ。


「ちょっ?!」


 スパイクのコース変えて打った。

 希望ちゃんはリベロの癖が出ちゃったのか、ボールに飛びつくようにダイビングレシーブした。


「亜美ちゃんひどいよぅ!」

「ごめんごめん……あっ?!」


 立ち上がった希望ちゃんの姿を見て私は声を上げた。 これはまずいよ!

 私はボールには目もくれず希望ちゃんの前に立って壁になる。


『うおおおお! 希望たんのポロリだぁ!!』

『見えた! ぬーん! 瞬間記憶能力発動!』


 うわわわわ、一瞬とは言え晒しちゃったか。


「希望ちゃん、早く水着直して」

「へ? はぅぅぅ!!」


 どうやら状況を把握したらしい希望ちゃんが顔を真っ赤にして水着を直す。


「ご、ごめん、まさかこんなことになるなんて」

「う、ううん」


 私達はアピールタイムを終えてステージを下りた。


「希望、体張ったわね……さすがに胸出してアピールは私でもできないわ」

「事故だよっ! はぅぅ、夕也くんにも見られたかなぁ?」

 

 顔を真っ赤にしている希望ちゃん。 夕ちゃんはちょっと後ろの方だったし見えてないだろうと思うけど。


「良いじゃん、今井君には見られても。 どうせ近い内に見せるんでしょ? なんなら今日見せちゃいなさいよ」

「はぅ?! き、今日?! 今日はダメな日なの!」

「ダメだなー、希望ちゃん。 ちゃんと準備しとかないと。 私が貸してあげようか?」

「あ、亜美ちゃん?!」

「何よ、亜美って持ち歩いてんの?」


 希望ちゃんも奈々ちゃんも意外そうな顔をする。

 そんな変かなぁ? いざという時に無いと困るよ。


「こんどーさんなら、いつも鞄に入れてるよ?」

「やっぱ淫乱じゃない!」

「違うよぉ! 自分の身は自分で守らなきゃ!」


 何か間違えてる?!


 最後に参加者全員でステージに上がって結果発表を待つ。


『では、3位から! 3位は、同率で2人! ⑧神崎紗希さんと⑩雪村希望さんです!』

「おー! やった! 希望ちゃん、一緒に3位だって! おっぱい出した甲斐あったね!」

「3位じゃなくても良いから出したこと無しにしたいよぉ!」


 2人で表彰台3位の場所に乗って観客席に手を振っている。


「どうやら、私と亜美の勝負になりそうねぇ」

「いやいや、私は……」

『第2位は……⑦藍沢奈々美さん!』

「かぁーっ、ここでもあんたに負けるのねぇ……」


 残念そうな顔で2位の位置に立って次の表彰を待つ。


『さて、今年の栄えあるマーメイドは! ⑨清水亜美さんです!」

「えぇ……」

 

 おっぱいも出してないしただバレーボールをスパイクしてただけだよ?

 なんで?


「やっぱ、亜美ちゃんには敵わんかー」

「可愛いもんねぇ」

「ま、悔しいけど仕方ないわね」

「え? え?」


 何か良く分からないけど、マーメイドに選ばれてしまった。

 

 ◆◇◆◇◆◇


 そして、コンテストが終わった後が大変だった。

 私達4人は変なファンが付いちゃって、しばらくの間、観客の人たちに囲まれて出られなかったのだ。


 途中で、夕ちゃんと宏ちゃんが割って入ってきて、何とか集団から連れ出してくれた。


「ありがと、夕ちゃん。 助かったよぉ」

「はぁぁ……怖かったよぉ」

「4人とも凄い人気だったからなぁ。 今日は人が多いとこでは遊べねぇだろ」

「だね。 どっか静かなとこでゆっくりしよっか」

「うん」


 私達3人は、賑わっているビーチから少し離れた場所へ移動して、やりすごすことにした。

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