Mr. Don't Wanna Be Alone

Mr. Don't Wanna Be Alone

僕は一人で家にいるのが大好きだ。

読みたい本はたくさんある。

見たい映画だって言い出したらきりがない。

ギターでFとGのアルペジオを繰り返すのが好きだ。

犬とだって遊びたい。

そう、僕は一人で家にいても退屈はしないし、寂しい思いをしたりはしない。

いや、しないはずだった・・・。

いつからだろう・・・。

僕は一人で家にいるのが嫌になってしまった。

外に楽しい事を見つけた訳ではない。

別に寂しいわけでもない筈だ。

ただ人と一緒にいたいだけだ。

一人で家にいると考えたくない事をたくさん考えてしまう。

たとえば、もし今、眼が見えなくなってしまったらどうしよう。

そうして僕は目を閉じたまま部屋を歩いて電話を取ってみる。

何とかできた。

しかし、ここからが難しい。

僕は友達の電話番号がほとんどメモリーに入っている為、暗記していない。

でも、彼女の電話番号は覚えている。

けれども、目を閉じたままダイヤルするのは思っていた以上に難しい。

少し苦労はするが何とかできそうだ。

だから彼女に電話する事だけは失明してもできる。

でも、その時彼女が電話に出なかったら・・・。

結局一人になるとこんな事を考え出して眠れなくなってしまう。

誰かと一緒にいればこんなくだらない事を考えないで済む。

だから一人になりたくない・・・・・・。

なんて事をわざわざ彼女に話して彼女に会いに行く僕はいったい何なんだろう？

本当はただ彼女に会いたいって言えばいいのに、わざわざくだらない作り話を彼女に聞かせてしまう。

しかし、僕は彼女に会う為にこんな回りくどい事をしなければならない。

だって、僕の気持ちを彼女に伝える事はできないから・・・・・・。