第3話おばあちゃんの部屋
子供の頃住んで家には下の階に和室があった。
そこはおばあちゃんが泊まりに来る時に使う部屋だった。
だから部屋の呼び名はおばあちゃんの部屋。
冬休みにおばあちゃんがいつものように泊まりに来た。
おばあちゃんが来るとなんかご飯が豪華になるよね。
その日も品数の増えた朝食を食べていると…
おばあちゃんがふと思い出したように
「昨日、○○ちゃん夜におばあちゃんの部屋に来た?」
何気なくそんな事を言われる。
思わず持っていた箸を止めておばあちゃんを見つめると、昨日の夜の事を思い出す…
夜にトイレに下へ降りたりはするがおばあちゃん達の部屋を通るわけでは無い。
そもそも深夜に人の寝てる部屋に入るなど…
なので
「行ってないよ、なんで?」
逆に質問すると
「昨日の夜に目が覚めたら部屋に誰かいたんだよ、○○ちゃんかと思ったけど違ったのね…」
おばあちゃんは気にする事無く、その話を終えた…
いやいや!
わたしは気になりもう少しその時の事をよく聞くと、どうやらおばちゃんは寝ていたら人の気配に気がつき目を開けたらしい。
すると和室の天井の隅を見上げる白い服を着た人がうっすらと見えたらしい
当然夜寝ていたから部屋の電気は消えていた、しかし外からの光で白い服が浮かび上がり目が暗闇に慣れた事で見えたそうだ…
その人はしばらく天井を眺めると部屋を出て行ったそうだ…
おばあちゃんは私か兄だと思ったそうで、たまたま部屋に入ってきただけだと思い声をかけることなくまた眠りについたらしい…
そしてその人物とはもちろん私では無かった…
じゃあお兄ちゃんかな?
そう思うことで嫌な予感を払おうとすると、おばあちゃんの一言に背筋が凍る。
「でもあの人髪の毛が長かったのよね…」
兄はその時中学三年生…自分も中学一年生。
兄は中学生らしい短いスポーツ刈り…自分もその頃スポーツをしていたので髪はショートにしていた。
そう…うちには髪の長い人などいなかったのだ。
後日談…
実はその見えた人物とは兄だった…
その日お風呂から上がり紺色のタオルで頭を拭きながら部屋のへりにかけられた賞状を見ていたらしい…
話を聞くとなんだ~と安心したが…おばあちゃん達が帰った和室には極力行く事を避けてしまっていた。
いないとわかっていてもなんだか誰かがいるような気がして…
不思議な体験談 三園 七詩【ほっといて下さい】書籍化 5 @nawananasi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。不思議な体験談の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます