その3 画家の授業

 私はその瞬間しゅんかん学生であり、教室に居た。

 高校生であり、予備校生よびこうせいであり、大学生であるような、とにかく若い時分の”学生”というくくりの何かだった――夢の中でそれを気にすることはできない――。


 名前は知られているが、それほど興味きょうみのない画家による授業がはじまり、慌てて何かを片付けて教室を出た。


 どこかの店内――ヴィレッジヴァンガードの内装を大人しくしたような画材屋がざいやだったと思う――をうろついているといつの間にか当時つるんでいた仲間がそばにいた。

 具体的に誰だったかはよく思い出せないが、そういう概念がいねんの人達だった。

 そうこうしていたら、さきほど授業をしていた作家も現れた。何故か私たち一団に合流し一緒に店内を観て回った。

 私が画家に授業はいいのかと聞くと、そういえば学科――たぶん受験の英語などの科目――があったと言って慌てて去って行った。なぜか仲間がそれに付いて走り出したので、私も走って追いかけた。

 お店を出る途中で仲間の1人が居ないことに気づき、画家との距離きょりを保ちながら後ろを気にしていた。

 いつの間にか合流できていたので、画家を追いかけ駅に向かった気がする。


 駅には反戦を訴える少女と老女ろうじょが居た。

 反戦というか爆撃ばくげきに対しての反対運動だった。


――2016年10月26日

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