プロローグ ~Sino side~
あの現実に戻る……考えれば考えるほど身体の震えが止まらなくなって汗が噴き出す。怖い、あんな嫌な思いをずっとしたくない……
「……ねぇボクと愛し合おうよ? 愛って気持ちいいんだよ」
シノが高揚し期待した表情でこちらを見る。こんな綺麗な男の子に愛して貰えるなんて一体どんな気持ちなんだろう。頭がぼうっとして熱に浮かされたような気分だ。気が付けば私はシノの手を取っていた。シノが満面の笑みで私を抱き寄せる。
「ふふ……選んでくれて嬉しいよ。 さぁ、おいで。 ボクがいつまでもいつまでも幸せな夢を見せてあげよう」
私は考える事を放棄した。今はこの幸せに浸っていたい。シノが舌舐めずりをした気がした。
『いただきます』
────
「ふふ……ほんと愚かで可愛い子。 ずっとボクが可愛がってあげるからね」
「……シノ」
「何その顔~? 仕方ないでしょ? ボクは君と違って人の魂取り込まないと存在出来ないんだからさ! でも約束はちゃあんと守ってるんだからいいじゃん? あの子は今頃ボクの中で幸せな『夢』を見てるよ」
「……君は間違ってる」
「間違い? 何が? これがボクの幸せなんだ。 放っておいてよ」
「君のそれは……」
「それよりさぁ! ボク甘いもの食べたーい! またなんか作ってよ!」
「……はいはい」
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