復讐編

第2話 日本にてⅠ

 「ちょ、ちょっと、待ってください。確かに俺は日本人ですが・・」


 「・・上からの命令である以上、お前がフランス人であろうが、強制送還だ」


 「っ!・・。しかし、俺は、俺にはんですよ!」


 「コジロウ、」


 柔らかいながらも、有無を言わせない口調で、上官は口を開いた。


 「あまり、困らせないでくれ」


 「・・・・。わかりました、上官。命令を受理いたします」


 「・・出立は今から3時間後だ。荷物をまとめておきたまえ」


 小次郎は敬礼しながら答える。


 「Yes,sir!]


 「よろしい。では、3時間後、飛行場で会おう」


 こうして、狩谷小次郎の7年間における傭兵生活は幕を閉じた。


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 基地から戦闘機を使い、沖縄基地に着陸。その後、小次郎は飛行機にて成田空港まで飛んだ。

 

 その時にはもちろん戦闘服ではなく、くたびれた黒いパーカーに黒いズボン、肩掛けの旅行鞄一つという身なりでだ。


 「こんにちは、小次郎くん」


 成田空港に着いた小次郎を迎えたのは、切れ長の目が特徴的な女性だった。


 「・・・・・・初めまして、狩谷 小次郎です」


 (久しぶりすぎて、とっさに日本語が出てこなかった。これは弊害だな)


 「ふ~ん」


 そういって、彼女は小次郎をじっくり見まわした。


 「傭兵をしてたっていう割には、細いのね」


 「はあ、よく言われます」


 「まあ、行きましょうか」


 「どこへ?」


 「いいから、ついてきなさい」


 「わかりました」


 空港から出て、ふと看板を見ると、日本に来たという実感がわいてきた。が、ここが祖国ホームかと聞かれると、それほど落ち着く雰囲気でもない。


 (不思議な感覚だ)


 車に乗ると、おもむろに彼女が口を開いた。


 「そういえばまだ自己紹介してなかったわね。私の名前は立花麻子たちばなあさこ。異能特務機関外交課の職員よ」


 「二つほど聞きたいんですが」


 「何かしら。どんどん質問してくれていいわよ」


 「一つ、なぜ俺のことを?」


 「知ったのは偶然よ。現地の工作員がたまたまあなたの噂を聞きつけて、調査してみたら日本人だったってだけよ」


 「なら、期待外れでしたね」

 

 「なにが?」


 小次郎の口調ががらりと変わる。


 「俺は


 「・・・冗談のつもり?」


 「最近の政府機関は戸籍すら見ないらしいな」


 「・・・どういうこと?」


 「俺に質問させてくれるんじゃなかったのか」


 「そ、そうね」


 「二つ、異能特務機関とはなんだ?」


 「え? し、知らなかったの⁉」


 「戦場でどうやって知れというんだ」


 「そ、それもそうね。んん、では説明するわね」

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