新たな課題
チュンチュン
小鳥の鳴き声と窓から差し込む日の光で俺は目覚めた。とても気持ちが良い。
マットレスがしっかりと俺の体の形にフィットしてくれるのでリラックスして寝ることができ、枕も低反発で極上の寝心地だった。
さて、起きるか。
ベットから降り、洗面所に行って顔を洗い歯を磨く。食事を摂る前に歯を磨くのは何故だろうと思っていたが、夜のうちに口内にいた菌が繁殖してとても汚い、との噂を聞いてから毎日磨くようにしている。
歯ブラシはどうしたのかって?
しっかりと置いてありました。ついでに真っ白なタオルも何枚も置いてあった。
うん、顔を拭くのにもいつもと違って新鮮な感じだ。
朝といえばラジオ体操だが別に日課でも無いのでやらない。お陰ですることは一つに絞られた。そう、朝食だ。
そういえば飯はどうしたらいいのだろうか?流石に貰えないということはないと思うが…。
とりあえず、ベルでメイドさんを呼んでみるか。
ふと思ったのだが、昨夜は廊下に出て鳴らしたが部屋の中で鳴らしたら意味ないのだろうか?異世界だと部屋で鳴らしてもメイドさんが駆けつけるような事があってもおかしくないと思う。
試しにベルを手に取りチリン、と鳴らしてみる。
コンコン
ほぼノータイムでドアがノックされる。まさかと思いドアを開くと…
「お呼びでしょうか?」
昨夜と変わらぬ姿で扉の前にはセナさんが立っていた。よくみると背丈が俺と同じか少し高めだ。ぐぬぬ、微妙に敗北感を覚える。
「ご飯って自分は貰えるんですか?」
「勿論でございます。先刻、お呼びしたときは反応がございませんでしたので…。すぐにお運び致します」
「あっ…なんかすみません。いつ頃起きたほうがいいですかね?」
一人一人違うタイミングで食事を摂られたら迷惑だろうと思い、聞いてみる。
「ああ、それでしたらそのことも含めて今後のことをお話しますので、食事が終わりましたら右手の部屋にお越しください」
「わかりました」
うう、怒ってはいないと思うけど威圧が込められたような言い方だな。
心構えを十分にして向かうことにしよう。
「では、食事をお運び致しますので部屋でお待ちください」
そういうと彼女は立ち去っていった。
こういうことは昨日のうちに聞いとけばよかったな。
その後、朝食を済ませ、食器は部屋に置いたままでいいと言われていたので歯を磨き、隣の部屋に向かった。
コンコン
あれ?一応ノックしてみたものの反応が無かったため、少し待ってから入ることにした。
「失礼しま〜す」
部屋の中は、自分の泊まった部屋と比べてもかなり普通…一般寄りな飾りだった。
それというのも、机と椅子が置かれているだけで他には壁に黒いパネルのような物がついているだけだった。
誰もいないな…。とりあえず席について待っていよう。
しばらく待っているとドアがノックされ、返事をする前に開かれてしまった。
俺は少し驚いてその場で固まった。
何故ならそこに立っていたのはセナさんでもアリシアさんでもなく、全く知らない人だったからだ。
「君がメディ君かね?ふむふむ、なるほどな」
一体、何がなるほどなのだろうか。
疑問に思いながらも、城にいる人だから不審者では無いだろうと考え自己紹介をした。
「こんにちは、自分は昨日からこちらでお世話になっているメディと申します」
「うむ、話は聞いておるよ。わしはダムスじゃ。なんでも、アリシア様を助けてくださったとか。その報酬に学園に通いたいだなんて熱心じゃのう」
「ははは」
そんな設定にしていたのか…。こりゃ一度、王様と話を合わせなきゃいけないな。というか俺に話してくれよ…。
「カルザス様から、渡り人だからこの世界の常識を教えてやれと仰せつかったものの…」
「はいっ?!」
あれ!!渡り人ってことは秘密なんじゃなかったの?!
「おお、これは失敬。このことは内緒でしたな」
本当に大丈夫なんだろうか…。ちょっとだけ心配になってきた。
「さて、ここからは真面目な話としよう。まずは明日からじゃが…」
こうして俺はダムスさんからこちらの世界の常識を…といっても変わることと言ったら魔法があるか科学があるかの違いで常識的なものは向こうとあまり変わらなかったが、教えてもらったり学園の事などを説明して貰った。
そして学園に関してとても重要なことを聞いた。
なんでも、俺が通うのは国立カルスニア学園という国名そのまんまの学園だ。そこは所謂貴族たちや国の重臣の子どもだけではなく一般の庶民からも学生を募っているそうだ。それをよく思わない貴族もいるそうだが、基本的には違うグループに分けられるため対立は起こっていないらしい。
ここまではいい。気になる俺の学園での扱いだが、貴族と一般、両方がいるグループに入るらしい。基本的には、一緒にはならないのだが、例外としてあるグループだ。このグループの基準は入学試験の成績が良かった者…すなわち実力派のグループと言うことだ。
因みにアリシアさんもこのグループだそうだ。やったね!これでクラスメイトだ!
しかしここで問題が一つ。
俺はこの世界に来たばかりなので読み書きが全く出来ない。
こればかりは勉強をしなければいけないのでどうしようもない。
幸いにも入学まで期間があるそうなので、それまでにみっちりと教育が待っているらしい。
ああ、どこに行っても結局は勉強しなきゃいけないんだなぁ。
そんなことを思いながら、アリシアさんとの学園生活を夢見るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます