第8話:授業の時間です
ようやく出席番号5番の「
教室には整然と横一列に5つの机と椅子が並べられている。4人は既に着席しているが、一人は寝袋で眠ったままだ。
「えー、今日から君たちの担任になった、
黒板にデカデカと自分の名前をチョークで書く。改めて書いてみると、とても恥ずかしい名前だ。自分でむっつりスケベって・・・・・・名は体を表すとは良く言ったものだ。
「先生!先生ってなぜこの学校の先生になったんですか?」
真っ直ぐ手を挙げ、脳筋の川奈がいきなり問い質してくる。なかなか攻めた質問だな。まあどうせ黙っていてもバレるだろうし、正直に話すか。
「いや~それがね、前に勤めてた会社をクビになって街を彷徨ってたら、『男性募集』って書かれたこの学校の求人を見つけて、思わず応募しちゃったんだ!」
「それって女子校生の身体目的ってことですか?」
七瀬が不敵な笑みを浮かべて話掛ける。これは確信犯だ。俺を揺さぶりに来ている。その手に乗るものか!
「え?逆に女子校生の教師って、何が楽しくて学校の先生になるの?」
沈黙が教室を支配した。誰も二の句を告げない。え?身体目的じゃないって言わせて、言葉で陥れる手かと思っていた。なんという失態。一生の不覚だが、その言葉に嘘偽りは無い。発言に一片の悔い無し!
「そうなのか!なら私と毎日身体を鍛え合おう!先生!」
川奈、ナイスカバーだ。お前の思いやりは忘れない。墓場まで持って行くよ。
「先生はどこの星から来たんですか?二メアクニャッ星人ですか?」
良く分からないタイミングで潮見が口を挟んできた。そんな訳無いだろ。いちいち突っ込むのも癪なのでスルーする。
「おい、先公!授業って何するんだよ」
田坂がまともな質問を投げてきた。やっぱり不良は一度従うとなると素直だな。この中では一番真面目かも知れない。
「お前達、先月とかも他の先生から教えて貰っただろ?『人生』だよ、『人生』」
「だから『人生』って、何を教えるんだよ。良くわかんねーよ」
そのご意見、ごもっともだよ田坂。俺も人生って何教えたらいいか良く分かんないよ。
「この学校が生徒には『人生』を教える方針ってことだからだよ。まあ俺も人生ってのが良く分からないよ。何が正しくて、何が間違っている人生なのか、死ぬときになんなきゃ分かんない。ただ、これだけは言わせてくれ。人生ってのは一度きりだ。今一番自分が納得できる、楽しいと思えるような生き方を選べ。それが出来れば最期に良い人生だった、って笑えるからさ」
結局、こういう格好いいことを言っていれば授業になるのか?
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