第6話:体育館でなにしてるの

 ウザったい屋上で騒ぎ倒している2人は置いといて、とっとと残りの2人の回収へ向かう。脳筋こと出席番号2番「川奈美鶴かわなみつる」と電波こと出席番号3番「潮見雲子しおみくもこ」は話がとにかく通じないから、あれくらいの距離感で十分だと思った。特に話さずとも、あの二人は気持ちはある意味真っ直ぐで従順そうだ。

 次の2人こそはちゃんとした清純で素朴な女の子に決まっている。そうで無ければ、このギャルゲの選択肢が破綻してしまう。お願いだ!俺に選択肢を選ばさせてくれ!

 次の定番スポットである体育館へ向かう。体育館へ向かう通路やグラウンドに至るまで、やはり人は居ない。ここはもしかして異世界か?俺は異世界転生して女子校教師になったのか?そうとなれば、女子校を目線一つで惚れさせるようなチート超能力の一つくらいあってもいい気がする。あとは世界の危機を救えるような超絶怒涛な戦闘力とか。あーそれはさっきの厨二病女子校生の十八番か。俺まで厨二病になってどうする。

 体育館に入ってみたものの、ここにも誰も居ない。がらんどうの空間を持て余したまま立ち尽くす。ここは空振りだったか。まあ必ずしもそういう場所に居るわけじゃ無いしな。俺の思い込み過ぎってことだな。

「ちょっとアンタ、何しに来たの?」

 人の声がする。体育館の中から聞こえてきた。先程まで人が居る気配が全くなかったが、もしかするとこれが巷で聞く、幽霊という奴か?ラッキースケベな幽霊ならいくら辛い目に遭っても堪えて見せます。毎日金縛りプレイとか、燃えますね。憑依プレイとかになれば、身体をは他人に操られて自分の言うことを聞かなくなる陵辱感に悶えそうだ。想像しただけで絶頂を迎えそうだ。

「えーと、どちら様ですか?」

「アタシはこの学校の生徒よ!アンタこそ誰よ?」

 体育館の倉庫の方に人影が見える。そこに隠れて何をしていたのだろう。想像が膨らむ。幽霊であれば身体は透き通って見えるハズだが、どうもそうでは無い。残念、幽霊プレイは出来なさそうだ。

 近づいてくる女の子は、茶髪ロングに超ミニスカ。リボンやYシャツも着崩し、両耳には当然のようにピアス。ピンクのネイルもバッチリ決めている。

「今日からお前の担任になった先生だ!もう授業の時間だから教室来なさい」

「は?教師?教師はもうこの学校に居なくなったんじゃないの?」

 学校に教師が一人も居ないとか、無法地帯かよ。どうなってるんだよこの学校の経営状態。

「だから、居なくなった教師の代わりに、俺が今日から入ったの!」

「で、どうせ意味の無い人生について説教垂れまくるんだろ?そんな授業受けたって意味ねーよ」

「俺もそう思うけど、まあ、なんだ、俺もさ、こんな教師になれるような立派な人間じゃ無いよ。上司とかの悪口をネットで書き込んでクビになったような、クズみたいな人間だよ。お前達には、悪口は吐いて良いけど、バレないように見えないところで吐ける、分別ふんべつのある大人になって欲しいんだよ」

 授業の意義とかは俺にもさっぱりだが、教師になった以上は担当となった生徒に対しては責任を持ちたい。色々な意味で。放課後個人レッスンとか、俺は大歓迎ですよ。なんとか生徒には俺の授業を受けて、個別ルートへの道を開いていただきたい。

「わーったよ。教室には行くから。待ってろ」

 頭を掻きむしり悪態をついて、女の子は体育館の倉庫に帰っていった。

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