第4話:保健室のベッドで

「おはよう!」

 とりあえずファーストインプレッションが大事だと思ったので、元気よくベッドに飛び乗り、身体と思わしきところに馬乗りになって、幼なじみ感を出してみた。

「なんですか・・・・・・やめてください」

 顔を半分だけちょこんと出す。絹のように白い肌が、みるみるうちに赤く染まる。

「授業の時間だよ!ほら、起きて!」

「幼なじみじゃ無いんですから、どいて下さい。警察呼びますよ」

 その子は俺を自分の身体から引き剥がそうと、布団を押しつけ包んで来た。

「わ、悪かった。警察だけは、勘弁、な?」

 簀巻き状態にされた俺は、尊厳もクソも無い姿でその子に懇願する。

「何しに来たんですか?」

 黒髪ロングのその子は、ブレザーを脱いでおり、ワイシャツとスカートの姿になっている。

「今日からお前の担任になったんだ。宜しく」

 爽やかスマイルを浮かべて、好感度を上げていくスタイル。

「そうですか。また変わったんですね」

「また変わった?」

「この間、つい一ヶ月前にも新しい担任が来ました。けど、もう辞めてしまったんですね」

 一ヶ月で担任辞めるって・・・・・・どんだけ辛かったんだよ。可愛げすら無かったのか?それとも触れてはいけない何かの闇に触れてしまったのか?

「そうなのか。確かに大変そうだよな、教師って」

「初めてなんですか?教師をやるのは」

「ああ、生まれてこの方、人に何か教えた事はない無い」

「じゃあ、なんで教師になろうと思ったんですか?」

「そりゃ決まってるよ。女子校生と仲良くなりたかったんだもん」

 再び爽やかスマイルを浮かべて、好感度を上げていくスタイル。

「お帰りください。警察はあちらです」

 簀巻きにされたまま、紐でくくられベッドから突き落とされた。

「いやいやいや!確かに仲良くなりたいっていうのはもちろん本当だけど、今までちゃんと働いたこと無かったから、ここに来てみんなと一緒に頑張りたいって思ったのもホントだよ?」

 心にも無い事を口走ってしまった。まあ、学園教師ならこれくらい臭い台詞吐かなきゃね。

「そうですか。まあ、さすがに初日なので、あなたの授業、受けてみますよ」

 その子は壁にハンガーで掛けていたブレザーを着て、簀巻きの俺の頭を撫でながら話掛ける。

「本当か?ありがとう!付き合ってくれ!」

「宜しくお願いしますね、先生」

 俺のさりげない告白は、風のように流された。

「教室まで連れて行ってください」

 簀巻き状態から解放された俺は、なぜかこの子を背負って教室に運ぶハメとなった。背中からは女子校生の柔らかい感触と、じんわりとした艶めかしい温もりが伝わってくる。ああ〜女子校教師は最高だぜ!

 

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