エピローグ

あれから、数日が過ぎた。

あんな戦いが繰り広げられたとは思えないほどに平和な日常が続いている。


大切な光景が失われずに済んだことに安堵しながら、目前にある地獄を眺める。


「これ、ラスト……」


ラスト一枚をミライから受け取り、描き始める彩乃の姿を料理しながら見つめる。


早々にリタイヤした俺は終わりに向けて台所へと避難していた。

肉のいい匂いを送りながら煽りまくっていたら、全員から恨めしい目を向けられてしまったのでちょっと自重中である。

本気で人を殺しそうな眼差しを向けられた時は両手を上げて降伏した。話が通じる分魔人よりはマシではあるけど、あれと違って痛みが長引きそうなので全力撤退がベストだと思ったのだ。


「よし。これはいいな。いい感じいい感じ」


冷凍庫に放り込んでいる物もちょうどいい具合になっている。夏が近づき、暑くなってきている今の時期は助かるであろう物を手作りしてあるのだ。


メイン完成して副菜も用意済み。ご飯ももう少しで炊けるし、汁もある。

後は、彩乃が描ききれば作業は一時終了。

色々とあったが、予定内に終わらせることが出来そうだ。


「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「ありがとうね」


様子を見に来たであろう七機が唐突にお礼を口にした。その意味が分からずに首を傾げる。


「お礼を言われるようなことなんてあったか?」

「さあね〜さっ日常に戻ったことだし、また返す日々に戻らないとね」

「はいはい。時間がある時な」

「終わった〜」


終了の合図に拍手で答える。

守られた日常。

これを守るために、まだまだ戦わないといけないのかと思うと気は重くなる。

それでも、七機や彩乃、五機と一緒ならば何とかなる気がする。


あのおじさんと悪三さんの犠牲を無駄にしてはいけないのだ……

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