説明 2

「にゃはは。とりあえず僕のことを話したけどよく分からないよね?」

「まあな。と言うか、七機の方がよく分かってないんじゃないのか?」

「うん。そうだね。僕もよく分かってないや。やるべきことだけは分かってるけどね」

「やるべきこと?」

「そう。仲間を増やして、敵を倒すこと。それが、コッぺリアンの使命なんだ」


仲間は、観測者を見つけることなんだろう。敵に関してはよく分からないけれど、ガルムなどと同じような敵である場合は厳しいな。

戦えはするだろうけど勝てるかは分からないだけじゃない。今の生活に大きな歪みを生む可能性もあるのだ。慎重にことを進めなければ……


「大丈夫だよ。生活には支障は出ないから!」

「その心は?」

「僕が守るからね」


薄い胸を張りながら、昔のアニメみたいなことを口にする。

むしろ、そこが心配なんだけどな。


「まぁその辺は棚上げでいいや。コッぺリアンの使命は分かったよ。探すのは手伝う」

「ほんとう?」

「ああ。戦うのは難しいかもしれないけどな」


ガルムとの戦いを思い出して体が震え始める。

あの時は無我夢中ではあったが、今思えば無謀なことだった。

よく囮になるなんて言えたものだ。下手すれば死ぬかもしれなかったのに……


「大丈夫だよ」

「そうかい」


優しい笑みにため息を零す。

全て分かってます。なんて笑みを浮かべられても困る。俺なんて何も出来ないのだ。


「それじゃあ、コッぺリアンについてはここまでにして、観測者と能力について。僕の知っていることを教えるね」

「ああ。レベルとかあるみたいだしな。その辺も教えてくれ」

「うん。まずは、観測者。観測者になれる素質だけなら、たくさん居る。けど、それを自覚している人は多分居ないと思う」

「コッぺリアンが見えないことには話にならないもんな」

「そういう事。つまり、僕たちが居て初めてその真価を発揮するんだ」


自信満々ではある。それはとてもいいことなのだが……確実に迷惑を被ることを思えば引き込むことに抵抗を覚える。

赤の他人に対して一緒に戦ってくれ。なんて言えるわけがない。


「はぁ」

「まぁまぁ。次に能力ね」

「頼む」

「コッぺリアンによって得られる能力は違ってくるんだけど。僕たちは未来を見る右目だね。これは、レベルによって見られる未来の長さや情報量に変化が起こるんだ」

「時間は確かに増えたな。それで、条件は?」

「それはね〜僕に、愛をくれること。だよ」


聞き取りやすいようにゆっくりと口に出す七機。だが、俺はそれを聞いてなお首を傾げた。


「はい?」

「だから。お兄ちゃんが、僕に、愛をくれれば、レベルが上がるんだよ。まぁ上昇に応じてだんだんとハードルは上がるけどね」

「冗談だろ?」

「冗談に聞こえる?」


真剣な眼差しに、嘘は言っていないのだろうと分かる。分かるけれども……承認しかねる。

なぜなら、


「じゃあ、さっきレベルが上がったのは……」

「お兄ちゃんからの愛のお陰だよ!!」

「うわっ」


マジかよ。

どれが愛判定されたのかまるで分からない。別に七機のことを愛した覚えはないぞ。


「酷いなぁ。もう。無自覚であっても。受け取ったものは受け取ったんだよ」

「ああ。そうかよ」


下手な反論をしようと無意味であると感じ取り、素っ気なく終わらす。

概要が分かっただけでもよしとしよう。出来るかどうかは別として。


「むぅ。まぁいいけどさ。後、レベルが上がると僕との間に強いパスが出来るから、色々と筒抜けになって行くんだよ。もちろん。蓋をすれば、相互の情報交換は出来ないけどね」

「それは、俺からしか出来ないんだな?」

「もちろん。僕は気にしないからね。気になるなら、お兄ちゃんが頑張ってね」

「へいへい。で、方法は?」

「さあ?」

「さあってなんだよ!!」


両隣の部屋に聞こえない程度で叫ぶ。

制御出来るように頑張れって言ってたはずなのに方法知らないのかよ!


「僕だって知らないことは知らないもの。だから、制御出来るように頑張ってって言ったんだよ」

「好きで聞いてるわけじゃないんだろ?」

「うん。そうだよ。でも、知らないから教えられないよ」

「くそう。くそう」


俺から七機への思考はダダ漏れ確定なのかよ。

変なことを考えられないじゃないか!!


「考えなければいいんだよ。もう。全く」


ぷりぷりと怒る七機。

なんで俺が一方的に責められるんだよ。

理不尽だ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る