序章4

「私に領民になる権利を頂けないでしょうか?」


いってはみたものの内心は気が気じゃない。


許可が出るかどうかは勿論だが、失礼に当たってないか、怒らせてないかという不安でいっぱいだった。


領主様は暫く悩むと唐突に話し出した。


「アイン領への移住許可と10万エルを与えよう。」


少しざわついた。


志願兵の恩賞で移住権を与えられるということは中々に珍しい出来事だったのだ。


その後兵士、冒険者、皆領のために励むのだという領主様のお言葉を頂き進行を勤めていた役人が締めの挨拶を言って会議は終わった。


会議が終わった直後は領主様の発言の実感がわかなかった。だが戦場からの帰り道で話すようになったアイン領の兵士や志願兵の仲間と飲んでいる内に喜びが込み上げてきた。


「ここからが俺の人生の本当のスタートだっ!」


ビールジョッキを掲げながら、俺は新たな人生の幕開けを実感しこれからの未来への期待も込めて大いに飲み明かした。




この日からゴートの本当の人生が始まるのだった。

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