俺等は俺等の道を行く!

水神瑠架

第1話俺等は俺らの道を行く!




 【デーモンズタワー】またの名を【千年塔】


 それはこの世界に突如現れたダンジョンの一つであった。

 この世界に置いてダンジョンとは自然発生するモノであり、現れる時期や場所を知る事は誰も出来ない。

 ダンジョン特有のルールが各々に存在するその場所は攻略せし者に最高の栄誉と莫大なお宝を齎すと言われている。

 冒険者のみならず時の権力者すら望む宝にダンジョンに潜る人間は後を絶たない。

 この【千年塔】もそう言ったダンジョンの一つとされていた。


 が後に人は思い知る事となる。【千年塔】は他と一線を介する存在であると。


 【千年塔】は何人にも攻略は出来ぬ最難関として君臨し続ける事となるのだ。


 数多くの冒険者がこの【塔】を攻略せんと立ち向かった。


 ある力自慢の戦士は「この【塔】を攻略するのは俺だ!」と乗り込んだが、幾ばくの時もせぬうちに命からがら逃げかえってきて、その後は冒険者として活動する事は出来なかったという。

 ある自らの技巧に一家言ある武闘家は「力試しには丁度良い」と言って乗り込んだが、終ぞ塔から出てくる事無く消息は其処で途絶えた。

 

 数多の名のある冒険者が幾度挑戦し、だが一人として【塔】を攻略する事は出来なかった。


 あまりに攻略できる【塔】に業を煮やしたある権力者が【塔】に一軍を向け、力づくでの攻略を試みた事がある。

 が、権力者の自信とは裏腹に軍はほぼ壊滅状態。辛うじて生き残った騎士は「地獄を見た」と一言だけを残し後は沈黙した。


 誰も攻略出来ない此処は何時しか【不倒の塔】として畏怖と羨望を集め其処に存在し続ける事となる。

 

 その【塔】が攻略された時何が起こるのか? ――それを知る者は“今は”誰もいない。

















 最近俺等は変な現象に陥っている。はっきり言って訳が分からない。分からないから解明したいが解明する切欠すらも見当たらない。一体どうしろと云うのか。

 まぁ相棒にそんな事言ったら「お前の頭では千年考えても分からないから無駄だ」とか言われるんだがな。誰の頭がお粗末なんだよ! 余計なお世話だ! ……言っている事が間違ってる訳じゃねぇんだけどさぁ。


 俺等がこの【千年塔】に乗り込んだのは何時だったか。もう思い出すのも嫌になる程前だった気がする。流石に相棒でも覚えちゃ居ないだろう。そんな前の話だ。


 この【塔】の噂は知っていた。ってか冒険者で知らない奴はいない。俺等も別に腕自慢を謳ってた訳じゃないし名を上げたい願望があった訳でもない。この【塔】に行く事になったのはある意味で成り行きで、だしな。

 とは言え俺も相棒も別れを惜しむ大切な人が居る訳でもなく、むしろ相棒なんかは生まれ故郷から追い出された口だ。俺が冒険者になったのも親が死んで生きていくためって言うまぁありふれた理由って奴だしな。


 そんな感じで【塔】の攻略に乗り出したのは成り行きだが、俺等は別に流れに逆らう事はしなかった。――俺等を嵌めた奴への報復はした後だったしな。未練も無かった。


 ってな、かるーい感じで乗り込んだ【塔】だったが、最初は勿論大変だった。

 そりゃそうだ。此処は最難関と呼ばれたダンジョンだ。塔らしく上がっていく様式だが、一階一階が複雑な迷路っていう鬼畜仕様の上、一階上がって下りればダンジョンの形式が変わっているマッピング泣かせの構造をしてやがった。

 それでもマップを作らない訳にはいかねぇし、一階ずつマッピングしていった。途中で相棒がブチギレする程度にはメンドクサイ作業だったな。正直もうあの苦労は思い出したくねぇ。

 しかも「入る者は命を捨てる覚悟をせよ」とか言われてるダンジョンの癖に途中で「ギルドマスター」を名乗るオッサンが出てきてクエストを依頼してくるわ(成功すれば結構良いもんくれるんだけどな。しょぼい時もあったけど)武器や防具の売り買いを可能とする「武器屋」の親父が現れるわ(途中で拾った武器を売れるのはありがたいと思ってたけどさぁ)挙句の果てに「道具屋」を名乗る奴なんて明らかに戦えない風体のじーさんが現れやがったりもした(そりゃ回復薬は欲しいけど! そうじゃねぇだろう! と突っ込んだ俺は悪くねぇ)

 いやまぁ相棒共々一番有り得ねぇと思ったのは「占い師」を名乗るねーちゃんだったんだけどな。此処ダンジョンよ? 占いなら街の道端でやれよ? と相棒ですら小さく「場違いだ」と突っ込みを入れるレベルだったんだからな?(ダンジョンのマップをくれたり、敵の居場所を教えてくれる有能さではあったが、それなら余計人相手にやれよ、と思った)


 という感じで突っ込みどころの多い輩を捌きつつ【塔】を上がるたびに強くなるモンスターと戦いつつ俺等は一心不乱に天辺を目指した。

 どうせ帰る場所も無いんだ。この塔を攻略するか物言わない躯に成り果てるか。分かりやすいと思わね?

 相棒には「もう少し物事を考えろ」だとか言われるけど、こういった事をグダグダ考えても仕方ねぇ。こーいう事はシンプルな方がうまく行くってな。そーいうこった。

 大体結局最後には溜息一つで付き合ってんだから相棒も同罪だろうにな? ま、アイツは色々考えないと生きていけなかったんだからそれも性分って奴なんだろうけどさ。

 その分俺は考えずに物事に突っ込む性質なんだが、補いあえる相棒同士って事でつり合いも取れてると思ってるぜ?






 とまぁこの【塔】を終の棲家として全精力を攻略に傾けた訳だが(御蔭で時間の経過が曖昧だし、多分俺等此処出たら外が変わり過ぎてびっくりするんだろうなと思ってる)ある時を境に俺等を取り巻く環境が変化した気がするんだ。


 最初の変化は何だったかなぁ? ……あぁそうそう道具屋のじーさんだったはずだ。相棒に言わせるともう少し前から異変の片鱗はあったらしいが俺が気づいたのはこの時だ。

 道具屋のじーさんは俺を見れば震え相棒を見れば固まる。明らかに俺等を見て緊張している……簡単に言っちまえば俺等を恐れていた。ダンジョンに出るモンスターを見ても相応にふてぶてしいじーさんが完全に青ざめてんだからよっぽどってことか?

 ――そういやじーさん若返ったか? いやもっと白髪だらけじゃなかったけ? ……まぁ仕方なねぇか。言われた事は守ってやれよ、な?


 物を売ってくれなくなったわけじゃないから俺は「ま、いっか」で済ませた。相棒はそんな俺を見て溜息を付いてたけどな。んん? 「分かってやってるのかやっていないのか。お前は時折俺よりも怖い時があるな」とか言ってんだけど、何の事だよ? おい! あーもう気紛れお猫様か、アイツは! いう事だけいいっていなくなりやがった。


 あん時は慌てて追いかけて相棒の頭を殴ったんだけどな。その後大喧嘩してその階の地形が変わるかと思ったぜ。


 そんな感じで過ごしてると他の奴も道具屋のじーさんみたく俺や相棒を見て固まったり、青ざめたりしだした。おーあのいかつい武器屋のおっちゃんが青ざめて震えるのは珍しい処か罪悪感まで感じたな。占い師のねーちゃんには泣かれたし。いやまぁあんとき返り血で真っ赤だったし仕方ない……よな?

 ちなみにギルドマスターを名乗ってた男だが、何時の間にか別の奴に変わってた。……多分な?

 いやーダンジョンにずっと籠ってると人の顔の差異が気にならなくなるんだよなぁ。相棒の顔さえはっきりしてればいっか、とか思ったりもしたもんだから、俺は人を大雑把に見分ける程度しかしなくなった。流石に美醜は分かるぞ? 気にしなくなったけどさ。

 相棒はそんな事は無いが、俺以上に「人」に興味が無いから基本気にしない。ギルドマスターに関してはあんまりビクつくモンだからちょっと手荒に追い払った時に「アイツは今までの奴とは違う男だぞ」とか言ったから分かっただけで。それを言うと相棒は溜息を付くだけだったけどな。


 んでまぁ人側の異変に首をかしげていた俺は今度はモンスター側の異変に更に首を傾げる事になった。


 このダンジョンに限らず何だが、モンスターは時折宝箱を落とす。何処にもってんだよ? とか思ったけど、これもお約束って奴なんだろう? だからまぁそこは深く突っ込まない。突っ込みたいのはそんな風に落とすはずの宝箱をモンスターが差し出すようになった事だった。

 いや、最初の時は驚いたんだぜ? これには普段クールな相棒も驚いてたしな。

 モンスターは宝箱を俺等に差し出して土下座していた。いや、魔物は土下座なんて出来るんだなぁ、と思った俺は悪くない。現実逃避なのは分かってるが仕方ない。まさかこんな事されるとは誰も思わねぇだろうよ!

 え? 宝箱? 有難くいただきましたが何か? いやぁ差し出されれば貰うだろう。冒険者として。相棒だって溜息付きながら貰ってたぞ?


 これもまぁその内考えるのをやめた。この時には俺等レベル相当高くなってたし……まぁ滅茶苦茶光るオーブみたいなモンを拾ってからは強い敵もそうそう出てこなくなってたから、弱い奴嬲る趣味は無かったしなぁ。宝箱貰えば見逃す理由になるって感じでもらってた。結構良いアイテムが出て来た時は「どうやってこれ手に入れたんだろうなぁ」とか思ったけどな。……本当にどうやって調達してんだろうな?


 ってな感じでさ、他にも色々と俺等の周囲に異変が起こりまくった。

 極めつけが目の前の状況だ。

 一体俺等の周囲に何が起こったんだろうな?















 俺は目の前の光景に呆然とし相棒は頭痛を感じたのか蟀谷に指をあてていた。


 目の前には冒険者とモンスターさん。まぁこれは良い。ダンジョンでは普通の光景だ。

 ただし安心してんのがモンスターでガタガタ震えてんのが冒険者じゃなければな!

 どう考えても逆だよな!?


 特に相棒を見る冒険者の目には絶望すら浮かんでいる気がする。……あの目好きじゃねぇんだけど。嫌な事思い出すじゃねぇか。


 ちょいと気分を害した俺がモンスターで解消しようとした時冒険者が相棒を指さし叫んだのだ。


「魔王が何故此処に!?」

「……はぃ?」


 魔王ってあれだよな? あの「この世に闇に染め上げてくれるわ!」とか言いながらも勇者にやられちまう究極のやられ役の事だよな? ん? 何でそんな事しってるのかって? こまけぇこたぁ良いんだよ!

 んな細かい事はどーでも良くて、あの推定冒険者は相棒を指さして「魔王」って叫んだよな?


 なんじゃそりゃぁ!!


「誰が魔王だ!!」

「ひぃ!」


 俺の剣幕に冒険者の悲鳴が聞こえるが無視だ無視。そんな事よりも俺の相棒を魔王呼ばわりたぁどういうつもりだ。

 そしてそこのモンスターは俺や相棒を見て目を輝かせるな。俺はテメェ等を助けに来たわけじゃねぇからな? 俺等お前の同類項を殺しまくってるからな? 此処に来るまでも……ん? そういや此処に来るまでには出てこなかったな。まぁそーいう日もあんだろう。ともかく、俺はお前等の敵だからな? 魔王なんぞでは無いからな?

 何故か相棒はそんな俺に対して呆れているようだった。本当に何でだよ?


「何故、オマエが怒る」

「相棒馬鹿にされて怒らずにいられるか!」


 本来は怒るはずのお前が怒らねぇからだよ!

 相棒は生まれが生まれだからか感情に疎い。だから代わりに俺が怒って泣いてんだよ。喜びと笑いは一緒じゃないと意味ないから代わりをする気はないけどな。

 クワッと吠えるように言ったら相棒は少し驚いた後目元が綻んだ気がした。


「忙しない奴だなお前は」


 そう言って小さく笑う相棒。本当に此処まで来るのに偉い時間がかかったもんだ。ま、今でも人は嫌いみたいだけどな。それは仕方ねぇよ。相棒の話を聞いて俺も微妙に人ってェとか思ったくらいだし。こんな姿を引き出せるのも相棒の特権、だろ?


 俺の怒声に怯んだのか冒険者たちは固まっている。そんな奴等を俺は胡乱な眼で見てしまう。

 大体なぁ何で「魔王」な訳? 普通そこは勇者じゃね? そりゃ俺等はカンスト、所謂レベルが上限達している。この【塔】の最上階らしき所にも行った。特に強いボスとかいなかったから多分としか言いようがねぇけど。

 けどよ、それら全部ひっくるめても普通に「英雄」とか「勇者」だろうよ。なんで魔王なんて言う究極のやられ役を宛がったんだよ。

 滅茶苦茶心外という顔で冒険者を見ている内にどうやら自力で恐慌状態から抜け出したらしい。

 殺気は込めなかったからか立ち直った冒険者の一人が今度は俺を震えながら指さした。


「ま、まさか。アンタ「血塗れ聖騎士」か? 魔王の一番の側近の?」


 おーい。今度はそれか? え? 俺相棒の下か? いやいや、そうじゃなくてだな。どう頑張っても悪役くさいネーミングやめてくれね?

 脱力すら感じてしまい突っ込みせずにいた俺に代わって珍しく相棒が前に出て来た。……こーいう時に出てくるのは珍しいな? 大体俺に人と対面する事は任せるってのに。


「相棒を俺の下に置くような発言は看過できない。訂正を願おうか?」


 ――あー、やべぇ。少し嬉しいかも。コイツも俺の事相棒って思ってたんだな。コイツあんまそーいう事口にしないから滅多に聞けねぇんだよ。

 突っ込みどころはそこじゃねぇと思うんだが、相棒の珍しいデレに俺は色んな事がどーでも良くなる。……うん、まぁ相棒を魔王呼ばわりしたのは許さねぇけど。

 俺は何とか緩んだ顔を引き締めた。


「コイツが魔王ってのも訂正しろや……な?」


 相棒の肩に手をかけると俺は今度は笑って全開の殺気を冒険者共にぶつける。そうしたらあっと言う間に推定冒険者たちは気絶しちまいやがった。


「……おー。軟弱だなぁ。この程度で気絶するなんてよ」


 此処までこれたって事はそれなりだろうにな? ま、相棒を魔王呼ばわりした代償だ、諦めろや。


「とはいえ、此処で死なれるのはちょっとなぁ」


 俺は周囲を見回すとモンスター共が俺等をキラキラした目で見ていた。なんていうか命令待ち、って感じか? ……まさかなぁ?


「コイツ等外に放り出してくんね? あー一応命だけは取るなよ?」


 ちょいと戸惑いつつ命令するとモンスター共は深くうなずくと嬉々として冒険者共を担ぐと何処へと消えていった。まぁ途中身ぐるみ剥がれる気がしないでもないが、この【塔】で気絶して命あるだけめっけもんだと思って諦めてくれよな。そして何故命令を聞く、モンスター共。


「魔王とか血塗れ聖騎士とかすっげー名前が出て来たもんだ」


 全く持って心外だよなぁとぼやいていると相棒の溜息をが聞こえて来た。


「分かってるんじゃないのか?」


 神妙な顔の相棒に俺は「何時もと変わらない笑み」を浮かべる。


「んー? ……ま、良いんじゃね? どんな事だろうと俺とお前が居れば何でもできる、だろ?」


 実の所今までの異変だって皆目見当がつかないって訳じゃない。そりゃ分かるだろうよ。この【塔】にいる「人」が怯える理由もモンスターが俺等を上位に置く理由も……道具屋のじーさんが代替わりしてんのもギルドマスターが別の奴に変わってんのも、な。

 俺達がこの【塔】攻略に乗り出してから“どんだけの時がたってるか”なんてな?

 結局分かっててもそれがどうしたって話なんだよな。俺等は俺等の芯がブレてなきゃ外から向けられた呼び名なんぞどうでも良いってこった。俺等が俺等である事以上に大切な事ってあるのか?


 そうやって笑うと相棒は深くため息をついた後笑った。


「そうかもしれないな。これからもよろしくな相棒――レオン=スカッシュ」

「おう! 俺等が揃えば最強だってな。これからもよろしくな相棒――ユーリル=カイト!」


 俺と相棒は上空でハイタッチをするとある所に行くために歩き出すのだった。
















――後の歴史書ではこう語られている


 ユーリル=カイト

 別名「暁の魔王」


 その強さは他の追随を許さなかったと言われている

 天使の如き金色の髪と容貌に魅了されし者はかの紅の眸に睨まれ永劫の苦しみを背負い生き地獄を味わったという

 産まれ故郷すら知られていないかの者は人々の前に現れた時にはその比類なき強さを発揮し各地を恐怖の渦に陥れていたと記されている

 かの魔王は後に【血塗れ聖騎士】と呼ばれた男と共に【千年塔】に封印された

 が、魔王はその【塔】の力を我がものにし【塔】の主として君臨し続けたのだ

 一説には【塔】に自ら志願して攻略に乗り出したと記されていたり、ある国の争乱を止めたなど武勇伝も残されているが、根拠が薄弱なため後世の作り話とされている。

 【塔】に住まう魔物の全てを支配し魔王と呼ばれた青年はゆうに数千年【塔】を統べ君臨したと言われている 




 レオン=スカッシュ

 別名「血濡れの聖騎士」


 魔王の片腕、同士として【塔】に君臨せしモノである

 産まれは平凡な村だったと伝えられている

 ある時突然村は壊滅し生き残りはレオン自身だけだったと言われているが、これは魔王に魅入られ力を覚醒させたレオン自身の手によるものだという説がある

 事実は定かではないが魔王ユーリルを相棒と慕い共に暴れたレオンの姿は確かに人々を恐怖のどん底に突き落としたことだろう

 最高の薬であると同時に耐えがたい激痛を齎すという選択の妙薬である竜の血を浴び微笑んでいた姿はまさに血濡れ

 聖属性に愛され聖騎士を名乗る事を許される身でありながら魔王に魅了された彼は「狂人者」と罵られていたと言われている

 それでも笑顔を絶やす事の無かった彼は確かに「狂っていた」のだろう

 魔王に魅了され生涯を相棒として生きたとされている彼の伝承もまた多くは残されていない




 【千年塔】に永遠ともいえる時を君臨していた魔王と血濡れ聖騎士はある時突如姿を消した。

 その呆気ない最期は様々な憶測が飛んだが、今でも真実には誰も至っていないという。

 ただ【塔】の最上階に魔王が残したと言われる石板が鎮座している。

 そこには一言だけが刻まれていたという。


 ――我らは自由なり


 と。


『ま、暇な人生なんぞまっぴらごめんってこった。祝福か? 呪いか? 分からねぇけど死なない身体になったんだし自由に生きてもいいだろう? ユーリルさえいれば何処までだっていけるさ。なぁ相棒!』

『お前の自由さに負けるよ。だがそうだな。お前さえいればこの先の一生も退屈しなさそうだ。最後まで付き合うさ、相棒』


『『俺等はこれからだって自由に生きていく!』』


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