真実
「…愁君気晴らしにどこか行かない。」
一週間後にそんな誘いがあった。しかし琴乃さんはまだ暗かった。仕方ない。
そんなこんなで紅葉狩りに来ていた。多分誰とも会いたくなかったからだろう。
「ねえ愁君手を繋いでくれる。なんか不安だから。」いつも顔に出ていない感情が出ていた。
僕は、実行する。
「ありがとう。」そんな元気がない声がした。
景色はとても綺麗だったが、空気がどんよりしていた。
だけど琴乃さんは、無理やり笑っている。そして誰もいないのに、最近は誰かと話している。
…だから言わなければならない。本当の事、真実である。僕は辛かった。だって琴乃さんが、壊れてしまうかもしれない。そして、もうあの笑顔が見られないかもしれないから。
「あの琴乃さん、誰と話しているの。」
「え、聞いていたの。」動揺をしている。
「…もしかして香子さん。もういないんだよ。」
「そんなの分かってるよ。だから何現実逃避するなと。悪魔なの愁君は。」
初めて怒鳴った。勢いよく手が飛んだ。僕は心が痛かった。だって香子さんが見えてしまっているから。
「だからね現実を、受け止めよう。」そうしないと琴乃さんが壊れてしまうかもだから。
「そんなの分かってるよ。じゃあ何。愁君がこれからずっといてくれるの。」
口実を言いたいが言えない。だから黙ってしまった。
「愁君嫌い。だってだってさ皆んな私から離れていく。愁君は、良いよだって病気だから私は心が見える化物。こんな能力いらないから普通になりたかった。」泣きながら訴えてくる。
聞いていたが視界が暗くなる…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます