真実

「…愁君気晴らしにどこか行かない。」

一週間後にそんな誘いがあった。しかし琴乃さんはまだ暗かった。仕方ない。

そんなこんなで紅葉狩りに来ていた。多分誰とも会いたくなかったからだろう。

「ねえ愁君手を繋いでくれる。なんか不安だから。」いつも顔に出ていない感情が出ていた。

僕は、実行する。

「ありがとう。」そんな元気がない声がした。

景色はとても綺麗だったが、空気がどんよりしていた。

だけど琴乃さんは、無理やり笑っている。そして誰もいないのに、最近は誰かと話している。

…だから言わなければならない。本当の事、真実である。僕は辛かった。だって琴乃さんが、壊れてしまうかもしれない。そして、もうあの笑顔が見られないかもしれないから。

「あの琴乃さん、誰と話しているの。」

「え、聞いていたの。」動揺をしている。

「…もしかして香子さん。もういないんだよ。」

「そんなの分かってるよ。だから何現実逃避するなと。悪魔なの愁君は。」

初めて怒鳴った。勢いよく手が飛んだ。僕は心が痛かった。だって香子さんが見えてしまっているから。

「だからね現実を、受け止めよう。」そうしないと琴乃さんが壊れてしまうかもだから。

「そんなの分かってるよ。じゃあ何。愁君がこれからずっといてくれるの。」

口実を言いたいが言えない。だから黙ってしまった。

「愁君嫌い。だってだってさ皆んな私から離れていく。愁君は、良いよだって病気だから私は心が見える化物。こんな能力いらないから普通になりたかった。」泣きながら訴えてくる。

聞いていたが視界が暗くなる…。

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