episode.『01月14日(木)/01月15日(金)』



精神すり減らして


空腹に耐えながら


昼過ぎの電車に揺れている


空は青く海は眩しく


景色が通り過ぎていく


心身共に疲れ切り


このまま朽ち果てそうになりながら


静かに終わりを待ち侘びていた


何をしたらいいのか


何をしたいと思っているのか


それがわからない


ただ寂しいということだけが


わかっていた



      ※



この世の誰が死のうと


悲しくはない


私を見つけず気づきもせず


助けてもくれない


こんな優しくもない世界など


滅んでしまえばいい


醜い大人が蔓延った


子供の夢を摘み取っていく


思い通りにならない世界など


それこそつまらない


この現実で、社会で


生きていく価値などない


皆、口先ばかりの嘘つきだ



      ※



いつも思う


もう自分を好きになってくれる人であれば


誰でもいいのではないかと


付き合ってしまえば


もう孤独ではなくなる


辛く寂しい日々も終わる


けれどやっぱり


応えることはできないんだよね


心の内に居座り続ける彼女への思い


もうすぐ14年の時が経つ


これほど長い一目惚れから続く片想いはないよ



      ※



彼はいつも電車に乗ると


窓の外を眺めるんです


まるで何かを探すように


聞けば曖昧な言葉ばかりが返ってくる


ただ空と海を眺めていただけだと


それの何が楽しいのか


当時の私にはわからなかった


けれど彼がいなくなって


わかったのです


彼は本当にただ景色を眺めていただけだと


辛く切ない気持ちを胸に


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