ねぇ、怒った?

もう日が落ちかけているころである。

どうしようか悩んでいたらいつのまにかこんな時間になってしまった。



ふぅ……

行くしかないよな

扉をノックする。

「……ラファ、ラミ、いるか?」

「「…どうぞ」」

「ありがとう。」

(入ったはいいけどどう切り出そう…)

(こんな時間に何かな……)



沈黙を破らなきゃいけないのは自分。

決心はつけなきゃいけない。


「ひとつだけ、聞きたいことがあるんだ。」

「「……」」

首は縦に振ってくれたので魔力をゆっくりと出していく。瞬間2人はピクリと反応した。

「…………俺の魔力…どうかな…?やっぱり気分悪くなるかな?」

赤くなっている、なにかを我慢しているような顔。

やっぱりそうかと、放出をやめる。

「…ごめん、そうだよね。今のは忘れてほしい……」


「…ん……こと……い…よ。」

微かに聞こえた、ラファの声。

「悪くなんかならない。」

はっきりと聞こえる、ラミの声。


「……ぇ…」

「レンくんの魔力は…その、すごく……気持ちいい…」

「このくらいならすごくいい気分。」

「…そうなのか?」

「「うん。」」

「…よかった………嫌われたんだと思ったよ…」

「あの時は魔力が多すぎた。動けなくなるくらいの心地よさ。」

「動くだけで…擦れて……レンくんのだから…もっと変な気持ちになっちゃうの……ねぇ」


「「責任とって…」」


??????????

待て待て待て、ラファはまぁ言い方も言ってることもなんとなくわかるが、ラミの方は全くわからなかったぞ?


「なんでって顔してる。私だって、我慢してたんだよ…?」

「ちょ……なにを…」

「わかってるくせに…」

「逃がさないから。」


あぁ〜これはあれか?

俺挟まれる感じか?まぁ憧れだから。


いやダメって言われただろ…


あれ、向こうからならokなのか?


もうなるようになれ!

俺はやりたいようにするからな!


「「レンくん……」」

「ラファ、ラミ……」


やっぱり近くで見ると2人ともとてつもなく可愛い!

好きにしていいんだよね?

2人の肩に触れる。


そしてラファの唇に触れようとした途端……


「流石にそれ以上はダメだ、お前ら!」

どこからか現れた男が、2人の名前を呼ぶ。

「ラファ!ラミ!お前らどうしてこんなところで人間と関わってんだ?偵察に行かせたと思えば報告に来ずに。お前らダメだ。消えろ。」

「「!?」」

ラファとラミが黒い粒子になり、それが集まって二つの核となる。


「……?」

「あれ、お前の魔力は…?まぁいいや。ねぇどうだった?悪魔と人間のハーフの味は?もしかしてまだだったか?ごめんな〜、こいつらにそんなことさせるためにやったんじゃないんだけどな。」

俺はいつのまにか氷魔法を放っていた。

魔法を受けた相手は傷ひとつない。

氷で凍った訳でもない。

「なぁ、そんなんでよく戦おうと思ったよな、まぁそうなったのも俺のせいなんだけどね。」

「……なにをした」

「もっと目を懲らせよ、見えるだろ?」

煙のようなものがぼんやりと。

「これは魔力を乱すための煙、俺の魔法だ。」

クソっ時間を稼がなきゃ。

「返せ!」

「無理な話だな。もともと俺のもんだからな、まぁ俺を殺せたならやるよ。殺せなかったら……そうだな、お前の前で、こいつらを嬲ってみるか。面白そうだ。」

怒りが込み上げてくる。

表情に出ているのもわかる、でも止められない。

「あれ?怒った?そうだよな、お前は両方気に入ってんだもんな!強欲すぎんだよ!見てたぜ、お前、魔力が汚いと思いつつも2人に嫌われたくないからって希望を捨ててないんだ。別に悪いわけじゃないが、全てが希望通りだと思わないことだな。今も含めてな。」


「くっwあはははは!いいなぁその顔!歪んでんねぇ!」

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