勇者組の思惑
「で、どうだった?」
「だいたい予想通りね。」
「そっちもか。ならいずれ両者とも答えはわかるかな?」
「やっぱりか。」
「「え?」」
作れるのは異世界人くらいだと思える再現度のこの店。もちろんドリンクバーのようなものもある。
違う部屋の人が合う場所はそこくらいしかない。
「俺の場合は魔力反応でわかるけどね。」
静寂……気まずいな…
「…まぁ、なんていうか、ありがとう。俺の心配してくれて。」
「こちらも悪かったよ。君に言わずに勝手にこんなことして…」
「いやいいんだ。悩んでるのを言わなかったし。でも心配かけっぱなしなのも悪いと思うし、これからの行動の支障になるのも嫌だから直接聞こうかなって…」
「それは良かった。僕らの動いた甲斐もあったみたいだね、じゃあ戻るとするよ。」
ルークも戻ったし俺も戻るか…
「望まれないのにするのなら、容赦しませんからね。」
シャルルは去っていく。
「………あぁ」
もちろん魔力放出は望まない限りもうしないから大丈夫だ。
ただ、何故あれほど冷たく言い放っていくんだ?
結局その後は歌うことも考えることも中途半端になってしまった、反省…
「冷たすぎたんじゃないかい?」
「少し感情を込めすぎてしまいましたね。でも相手の今後のことを考えずにする輩が一番嫌いです!……あっ、大声出してごめんなさい。気にしないでください。」
「聞いても良いかい?幼馴染として少しでも支えになれるなら。」
「……………………」
「…………」
「ユウキくんは知ってると思うけど私は転生者。前世では貧乏な家の次女だった。」
「……」
「その時の彼氏、あいつは自分が快楽を得るためだけにまだ13の私を買った。もちろん親は反対してくれたけど、私は親にその金を受け取らせたの。お姉ちゃんと妹にしたい事を私の分までさせてあげてって。それからは奴のいいなりの生活だった。でも一応食事ももらえたしお出かけもさせてくれた。でも18になった時に森に捨てられた。」
「………っ…」
「私は分かりきってたことだから覚悟はできていたけれど、こんな人生を歩む子をもう見たく……ユウキくん?どうして…泣いて…」
「…あぁ……ごめ…ん、今まで ずっと抱え込ませていて……もっと早くに支えてあげられなくって……」
気がつけばユウキくんに抱きしめられていた。
「ユウキくん、ありがとう…(とても…あたたかい)」
「……僕は、絶対に君を離したりしない!幼馴染としても恋人としても絶対に!」
涙が溢れてしまう。血の繋がっていない人の、初めて触れた本物の愛のあたたかさに。
「……大丈夫さ、レンなら絶対にそんなことはしないさ。」
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