代償
今回の魔法はちょっと不味かった。
でもみんなを救えたなら腕一本なんて軽いものさ。
しかし、ここはどこだろう。
一帯が広く平坦で色が無い。なんか来たことがありそうで、心当たりは1つだけあるから多分それだろうが。
『死にかけたね。』
「でしょうね、大量出血で死ぬなんて…」
『いや、死にかけたのはそれじゃ無いんだ。急激に魔力を増やしたせいで魔力回路に収まらずに脳に溜まっちゃったから脳が誤作動を起こしたの。』
「でもだいぶ血出てましたよね?」
『血液は最悪無くなっても魔力があれば動けるよ。でも魔力はいろんな事に使うからそっちに使うのはあんまり良くないっていうだけ。』
「なるほど、じゃあ結局転生しても僕は魔法使いになれなかったのか。」
『え、魔法つかってたじゃん』
「そっちじゃなくて…」
『…まさか結婚する気無かったの?』
「相手もいないですから…」
『なら私が貰っても…』
「え?」
『え…』
…………………………
……………
……
そういえば称号はそれを極めたからついたもの。
つまり『神に愛されし者』があるってことは…
「……よろしければなぜそうなったのか聞かせてください。」
『えっ!?聞いちゃうそれ?だってほら、神ってみんなを見守ってるから…それに慕われるなら相手を愛すじゃない。』
「なるほど…」
謎理論でゴリ押された感ぱないっす。
『こほんっ、じゃ、じゃあ戻すよ。』
「戻すとは?」
『もちろん元の世界だよ。』
「どっちです?」
『あぁ、魔法のある方だね。そうそう、魔力は一回空っぽにしてから充填しておいたから。それと、腕はこっちで創ってみたものをあげるから。それじゃあ頑張ってね。張り切り過ぎないようにね。』
この日、この女神は初めて嘘をついた。それは秩序である神には有るまじき行為であり、あまりにも人間に似た感情が入ってしまっていた。
そしてその後、思わぬ形で地上でヴァレンと再会することになる。
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