第43話 18 チートMOD
ビージェイにファミリアのメンバーを紹介され、その後、相談があると言われて眉を顰めながら話を聞く事になる。
「最近さ~マリシャちゃんがさ~……ングゥ、俺に気がある気がしてたんだが……、どうやら勘違いだったみたいなんだよな~」
「……」
「彼女さ、最初の頃スゲーメッセ送ってきてさ、俺……〝やべー!気があるんじゃね!〟って思ってたんだけどな」
ビージェイは、グラスに注がれたアルコール成分の無い酒を飲みながら、気分酔いしている様子で話している。
「……最近さ、全然メッセこなくてさ~、ちょっと寂しいんだよな~」
ビージェイの発言からしても、マリシャはメッセージを大量に送る癖に関しては完治しているようだった。しかし、彼女の極端な態度にビージェイが落ち込んでいる様だったが、俺にそれを相談した所でどうなるわけでもない。
「……ビージェイ……彼女はおそらく、〝気を許さない相手〟にはメッセを大量に送って遠ざけて、〝気を許した相手〟には全然送らない――そういうのだと思うぞ」
その聞き苦しい言い訳をビージェイはすぐに信じた。
「そうか、あの大量のメッセは彼女の精神防壁だったわけだ、それが今となっては俺の優しさで剥がれてしまったわけだ~なるほど!!」
さすが、〝ポジティブなサンドバッグ〟としてマリシャに提供しただけはある。
ビージェイはそうして、笑顔で近況を話し出す。
ビージェイが初心者の非プレイヤーの中で、〝先生〟と呼ばれていることと、ファミリアのスペルFamIlIarがどうしてIlIなのかを俺に話し終えると、丁度マリシャがカイトと部屋から出てきた。だが、何故かマリシャは疲労感たっぷりの表情で、対するカイトは相変わらず笑みを浮かべていた。
「二人とも~何の話してたん?」
ビージェイが二人にイヤらしい眼つきで聞く。
「疲れた……今日はもう帰る、ヤト~ブロック解除しておいてね~」
マリシャは気力なさげにそう言うと、本当に帰ってしまう。
「一体どうしたんだマリシャちゃん?」
「ボクはまたお話したいな、とても面白い人だよ彼女は」
カイトはそう言うと、満面の笑みで俺の隣に座った。
そしてすぐに俺は椅子から立ち上がり。
「じゃー帰るとするか」
「なんだよ~もう帰っちゃうのかよ~」
ビージェイが止めようとするが、俺にも予定があると言うと素直に、「そうか」と言って見送ってくれた。
「じゃ~ボクも帰るよ、じゃ~ねビージェイ、みんな」
「またね~カイトちゃ~ん!」
マリシャとカイトが帰ると男だけの会になるが、ビージェイたちは気の知れた仲であるために、それさえも楽しく過ごすファクターにしてしまうのだろう。
ファミリアのホームを出た俺たちは、始まりし街を転移ポートへ向け歩いていた。
「本当に予定なんてあるのかい?」
指で背中を突くカイト。
「……別に、いいだろ俺だって嘘を吐くことくらいある」
俺はその背中を突かれる指が鬱陶しくて、少し眉を顰めてそう言う。
そうして歩いていると、唐突に俺の前を立ち塞ぐ男が現れた。
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