第15話 4 秩序【自由】のある世界
俺たちがBCOに来て3日が過ぎた。
その間、強制ログアウトしたのは100人未満。
現在も、約9500人以上の人間がこの世界に取り残されていた。
1日過ぎた時点でケージェイは非テスターたちの賛同を得ることができ、そこで勝ち得た信頼を活かして集団を分けた。
テスターの拠点を第3の街ヘイビアにおいて、非テスターを子どもと大人に分けた。
テスターたちとは、話し合いと1867名による投票で一つのギルドを作る事が概ね決まり、自らギルドマスターを務めるとケージェイが立候補する。
そのギルドはこの世界の秩序になる予定で、実際にそうなるのかは誰にも分からない。
そして、非テスターたちには大人の中から、"子どもと接する仕事"をしている、もしくは"したい者"を選んで約300人の15歳未満の子どもの面倒を見る機関を作った。
年齢制限15のタイトルにそれ以下の人間がこれほどいるとは予想もしていなかったが、自業自得と投げ出すには、16の俺が言うのもなんだけど……まだ彼らは若い。
残されたその他の約7400人には、それぞれの考えで好きなようにすることを勧めた。その中にも一つだけ、ケージェイは選択肢を差し出す。
「攻略組み?」
「そうだ、テスターを中心にこのゲームを攻略する組織を編成する、レベル上げのノルマや色々な決まりは追々考えるとして、まずはこのギルドをしっかりと作りこまなくてはならない」
過去の事件を多かれ少なかれ知っている者は、その"攻略組み"こそが当時ゲームをクリアした者たちのことだと分かる。
「……さて、始めようか――」
ケージェイはそう言って、その場に集めた者に自己紹介を促す。
「俺はヘイザー、今小さいがギルドを作っている。35人集まったメンバーには、もう非テスターもいる」
短髪、頭で考えるより体を使うことを前提として動く、そんな印象の男。
「僕はクラウ、こう見えて大学院生だ、ケージェイ君のサポートができればと考えているよ」
メガネ、インテリ…………メガネ、頭で考えている風に見える、そんな印象の男。
「レイネシア、……え?何?名前以外に何言えばいいか分からないわ」
学校の委員長風、だけど勉強はできない、そんな印象の女。
「ヤト、あまり協調性がない、だから複数での人付き合いには苦手意識がある、……以上」
自分でも驚くほどの自己紹介に、まだ挨拶してない男が口を挟む。
「"それが自分だ"って訳だね少年!実に面白い!」
細め、他人を常に見下している、そんな印象の男、第一印象での感情を加えるなら"嫌いなタイプ"である。
「俺はラビットだ!楽しければ大体オッケー!この中でお友達になりたいのは~そちらのレイネシアちゃんとあちらのお姉さん、あとそこの美人ちゃんかな」
ラビットの言葉にレイネシアは"キモ"と言い。
お姉さんと指された女は苦笑いし、美人さんと指された女は無視をする。
「私は~マリシャです。え~とラビットさんみたいな方が苦手ですぅ~」
……胸が大きい、頭が悪そう、話し方が耳障り、そんな印象の女。
「ナナよ、私も彼とは話したくないわ」
特にこれといって何もない、外見だけはいい方、そんな印象の女。
それぞれの自己紹介が終了して、最後にケージェイが口を開く。
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