第12話 スマホの画面が…… 私が怪力なのか。

 二時間程だったけど、香織ちゃんとゆっくり話が出来てちょっと気持ちも若返った気分。

 シッポの待つ我が城へ戻ろうと乗り込んだ電車がなかなか運転が荒くて、慌てて吊革にしっかりと捕まった。

 すると、私の隣に立っている男性にしがみつく様に立っている若い女の子とガラス越しに目が合っちゃった。

 つい目線をそらしちゃったんだけど、彼氏なのかな? 男性は彼女と自分を支えるために血管が浮き出る程しっかりと吊革を握ってた。

 良いなぁ、私も誰かに寄りかかりたい。

 つい、ため息と一緒に本音が脳裏を……。

 

 ☆ ☆ ☆


 いつもより少々遅めの帰宅にご立腹のシッポは、遠目にこっちを見るだけで近寄ってきてもくれない。

 なによ、もう。

 服を一気に脱いで洗濯機に放り込むとそのままシャワー。

 お酒を飲んで帰った日は、シャワーだけに決めてる。去年酔っぱらったままお風呂に入って寝っちゃったの。で、風邪。

 ん?

 私って年一回風邪で寝込む運命なの?

 そしていつか、寝込んでいる事すら誰にも気付かれず孤独死……。

 えー、何か嫌なんだけど!


 ☆ ☆ ☆


 ドライヤーで髪を乾かしながら、スマホの画面を見つめてます。

 穴が開くんじゃないかと思うほど見つめてます。

 しかし、真っ暗なスマホの画面に映り込む自分の顔が怖すぎる。

 もういい!

 そう思って画面から目を離した瞬間ポンと通知音。

 ドライヤー持ってた事を忘れてスマホを取ろうとして……

 やっちゃった!!!! 

 スマホにドヤイヤーを叩きつけてしまって、画面がバキバキに。

 今まで一度も画面わった事なかったのに!

 通知はLINEだった。

 『高瀬隆二』からのLINE。

 え……。

 リュウLINEの登録フルネームなのね。

 それと、バキバキに割れたのは画面じゃなくて貼っていた保護ガラス。

 良かった。

 ちょっと高かったけど、良い保護ガラスにしておいてよかった。

 でも、ハンマーで叩いても割れませんって書いてたのに、ドライヤーで割れる?

 役目は果たしてくれたし文句はないけどね。

 すぅぅぅぅはぁぁぁぁぁぁ

 ゆっくり深呼吸して

 LINEを開く。

 いや、開こうとしたらリュウから電話が。

 LINEの意味!

「もしもし?」

「あーLINE初めて使ったんだけど、うまくいってる?」

 昔さ。うん、そう二十年程前。

 パソコン初心者の人がメールを送って

「メール送ったんですけど、届きました?」

 って電話かけてくるって言う笑い話があったんだけど、リュウそれですよー。

「うん。来てる」

 まだ読んでないけどね。

「そっか、ならよかった、じゃぁ」

 って切った!

 電話切ったんですけど!!

 切りやがったんですけどっ!!

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