第3話 ロボット労働力転換法。

 ロボット労働力転換法という画期的な法律の施行後、人々の暮らしは激変した。


 20ぺけぺけ年、日本政府は人口減による労働力不足を補う為に移民を推し進めようとするも、ナショナリズムの台頭と各国の移民政策失敗により国内には排他主義が蔓延していた。

 また、同時に、自動車の自動運転に伴う法律も整備され多くの輸送業に従ずる人手不足も解消、その他多くの労働も技術的にはロボット化できるにもかかわらずそれに反対する労働組合によって人の仕事は守られていた。


 この相反する現状を打破する為に打ち出された画期的な政策があった。


 すべての企業が現状の労働力をロボット化する事を推奨する一方、そこで生じた人件費の減額分を企業規模に応じ徴収し、それを年金、社会保障、ベーシックインカム等に当てることを目的とした法案、ロボット労働力転換法、である。


 企業にロボット開発を自主的に任せるのではなく、初期投資は国費、年金資金で行ない、技術的な問題を日本企業経済界の共同開発事業とし、大規模なロボット労働力レンタルシステムを作り上げてそれを各企業に還元。


 小さな工場から大きな工場までそれまで人間が行っていた労働を代替するロボットユニットの規格化、共通化により開発費維持費の軽減、そして日本一国内のことではあったが、完全に3k労働力のロボット化に成功した。


 また、日本国民であれば誰でもこのユニット所有権を安価で得ることができ、家事や養育養護、果てはアルバイトや就業までさせる事が出来た為、人々の生活基盤は様変わりする事となったのだった。




 しかし、その状況は長くは続かなかった。


 というのも、産まれる子供の数が激減したのだ。


 生活に困らないという事が人にとっての結婚という選択肢の価値を低下させ、子供の出生率が大幅に低下するのにそう時間はかからなかった。


 人口は極端に偏り、そして益々減り続け。


 そこに至って政府はある決断を下す。


 新しい生命の創造を。

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