第2話 おじいちゃんのお膝。

 っていうかほんとこれはどういう事なの?


 真っ赤になってるアオ。

 これが二人きりの時に告白されたとかならまだもう少し優しくなれた。

 でも。


 これはないよ。

 あたしが好きなのはタケルだって、タケル本人だって知ってる筈。


 それなのに……。


「ひどいよタケル……」

 あたしはそれだけ呟くと涙が出そうになるのを堪え、ガランと乱暴に扉を開けるとその場から逃げた。


 商店街をとぼとぼと歩くあたし。

 さっきまであんなにうきうきして歩いていたのが嘘のよう。

 周りの景色も色褪せた。


 うっく。

 タケル……。


 ひっく。

 タケルはあたしのことなんて何とも思ってなかったのかな……。


 く……。

 嗚咽を漏らしながら、目に浮かんだ涙を拭う。


 周りの景色がぼんやりとして、世界から隔離されたような感覚に陥る。

 あたし、おかしい……。



「どうしたい? みゃーこ」

 いつのまにかあたしはおじいちゃんの所に戻って来てた。

「耳も垂れてるししっぽも元気がないな。こっちへおいで」


 縁側で腰掛けるおじいちゃんの隣に座る。

 うん。此処は本当に居心地がいい。

 ポカポカして、寝てしまいそうだ。

 あたしはおじいちゃんの膝にうつぶせた。


「よしよし。何か嫌なことでもあったのかい?」

 そう言いながら頭を撫でてくれるおじいちゃん。


 なんだか。こうして頭を撫でられながらおじいちゃんのお膝で寝てると、全てがどうでも良くなってくる。

 悲しかった気持ちも随分和らいだ。


 あたし、タケルが好きだよ。

 でもタケルにはみどりがべったり。

 あたし、タケルに気に入られてると思ってたのにな。


 そんな事を考えてたらほんと眠くなって来た。


 あ。


 アオって言ったっけ。

 あの子、どうしちゃっただろう?

 ちょっとかわいそうだったかな……。



 そんな事も頭に浮かんだけど、あたしはそのまま眠っちゃったみたい。

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