第九章:ヴァルキュリア・フォーメーション/07

 戒斗と潤一郎の戦いに割って入ってきた遥とセラが、満身創痍の戒斗を守るように、潤一郎の行く手を阻むように立ち塞がる。

 アンジェが交戦を続けているグラスホッパー以外の全ての再生バンディットを撃破し終えた二人が、戒斗を助けるべくやって来てくれていたのだ。

 遥は遠距離特化形態のライトニングフォーム、そしてセラは通常形態のガーネットフォームだ。二人はそれぞれ聖銃ライトニング・マグナムとショットガンの銃口を潤一郎に突き付けつつ、戒斗を守るようにして潤一郎の前に立ち塞がっていた。

「すまん、二人とも……!!」

 助けに来てくれた二人の後ろ姿を目の当たりにして、地面に這いつくばったままの戒斗がそう礼を言う。

「ご無事で何よりです……!!」

「戒斗、アンタは一度下がりなさい! 悔しいけれど……コイツは強い、Vシステムじゃ歯が立たない相手よ!!」

『……実に悔しい話だが、戒斗くん。残念ながらセラくんの言うことは事実だ。現状のVシステムでは、奴への対応は難しいと言わざるを得ない』

 身を案じてくれる遥と、振り返らぬままにそう叫ぶセラ。二人の言葉に続いて聞こえてくる有紀からの通信に、戒斗は「くっ……」と悔しげな顔をする。

 だが、同時にそれが間違いでないことも彼は痛感していた。

 悔しいことだが――――現状のヴァルキュリア・システムでは奴に、プロトアルビオンには対抗できない。

「カイトっ!!」

 戒斗が痛感する中、グラスホッパーとの交戦から一時離脱したアンジェが瞬時に戒斗の傍に滑り込んできていて。彼女もまた、彼を守るようにバッと立ちはだかっていた。

「アンジェ、アンタは戒斗をお願い!」

「分かった……!!」

 遥とセラが盾になる中、アンジェに支えながら戒斗は立ち上がり、ボロボロのVシステムを引きずるようにして彼女とともに後退していく。

「へえ? 今度は君たちが相手してくれるんだ。レディに手をあげる趣味は無いんだが……しかし、君らが悪の秘密結社に踊らされているというのなら仕方ない。待っていてくれ。今すぐにこの僕が君たちを解放してあげよう!!」

 そうして戒斗がアンジェとともに下がっていく中、自分の前に立ちはだかる遥とセラの二人を見つめながら、楽しげにそんなことを……妄言としか思えないことを口走る。

「さっきから何なのよ、アンタは!? 悪の秘密結社ってそっちのことでしょうに……一体全体、何をキメてんのか知らないけどね、アイツをああも痛めつけたお礼は……たっぷりさせて貰うわ!!」

「行きましょう、ガーネット・フェニックス……!!」

「ええ!!」

 ――――神姫二人、プロトアルビオンとの交戦開始。

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