第一章:刹那、尊き日々の残影/06

「……うん、良い感じだ」

 そうして皆の集合写真を撮り終えれば、真は三脚から外したカメラを手に、今まで撮った写真……集合写真も含めた、皆を写し撮った数十枚の写真データを見ながら、手応えを感じさせる独り言を漏らす。

「上手く撮れたか?」

 そんな彼女が視線を落とすカメラの液晶画面を、戒斗が真の肩越しに覗き込むと。すると小さく振り向いた真は「おう!」といつも通りの笑顔で頷き返し、

「すっげえ上手く撮れてるぜ。さっきの集合写真なんか……ほら、この通り」

 と、ついさっき撮ったばかりの集合写真を見せてくれた。

「へえ、ホントに上手く撮れてるな。流石はプロ志望ってワケか」

「あたぼうよ!」

「どれどれ? 僕にも見せてよっ」

「おうアンジェちゃん、こんな感じになったぜ」

「わあ、良いね!」

「ん、アタシも見たいわ。……うん、良いんじゃない?」

「だろぉ? それ以外にもさ、セラちゃんだったら……ホラ、このカットなんか最高。このまんま雑誌の表紙イケるレベルじゃね?」

「ま、被写体が良いってのもあるけどね」

「そりゃ同意」

「ホント、セラすっごく綺麗に写ってるね……」

「…………改めて見ると、とんでもないスタイルの良さなんだな」

「ふふっ♪ アンジェも戒斗も、もっともっと褒めても構わないわよ?」

 そんな写真の出来映えに戒斗が素直に感心していれば、今度はアンジェも混ざってきて。その後にセラまで寄ってくるから、真はそんなセラ自身を写した写真を見せてやりつつ……彼女の写り具合の良さを見て、自分が撮影者だということも忘れて惚れ惚れしてしまう。

 同じく写真を見たアンジェも戒斗も素直にセラのことを褒めちぎるから、気分を良くしたセラがご機嫌そうに鼻を高くする。

「ま、写真は後でアタシが現像しとくから、また暇見て渡しに来るわ。戒斗とアンジェちゃんは良いとして……セラちゃんは二人のどっちかに渡しとけば良いよな?」

「ええ、頼むわ」

「んでもって、遥さん……の分も戒斗でいいか」

「そうですね、お願いします」

「オーケィ。んじゃあ、ついでに有紀さんの分も預けとくよ。有紀さん、それで良いかい?」

「ああ、頼むよ真くん。幸いにして私はしょっちゅうこの店に来ているからね。誰かしらに渡しておいて貰えれば、自然と私の手元に回ってくるはずだよ」

「ふふっ、楽しみですね」

「だねー。出来上がってきたら遥さんも一緒に見ようねっ」

「はい♪」

「勿論、カイトもだよ?」

「分かってるよ。どのみち皆には俺が渡すことになるだろうからな」

「だねー。じゃあ席に戻ろっか。そろそろお客さんも多くなってくる時間だし」

 とまあ、こんな具合に出来上がった写真をどう渡すかの段取りも決まった頃……立っていた皆はまたカウンター席に戻っていく。

 三脚を畳んだ真も皆と一緒に席に戻り、さっきまでと同じように……真も交えながら、他愛のない雑談を再開した。

 どうやら、もう暫くの間だけ……この楽しい時間は続きそうだった。





(第一章『刹那、尊き日々の残影』了)

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